第43回:お遍路の道はどこに続く
異世界のカルボニアに旅立ったと思ったハンター竜田、しかし竜田からの手紙ではカルボニアに旅立ったのはクリムゾン真鍋とのこと、偶然ハンター竜田もクリムゾン真鍋と同様にお遍路の旅に出ようとしているとのこと、二人におきた矛盾を心に秘めながら、四国のお遍路の旅へと続いていく。
真鍋:ついたよ、四国、瀬戸大橋を渡って丸亀到着だ。
じぇ:新幹線とバスを乗り継いで結構遠かったですね、飛行機でくれば早いと思うんですが。
真鍋:昔は宇野と高松の間は宇高連絡船というフェリーで4時間かけて移動していた、それが瀬戸大橋ができてたった1時間で移動できるようになった。あの感動をもう一度味わいたいわけだ。

じぇ:思い出深いですね。
真鍋:なんでも吾輩の親戚のおじさんが、宇高連絡船の船長をやっていたらしい、国鉄の中でもなかなか船長にはなれなかったらしい。もう半世紀以上前の話だが。
じぇ:宇高連絡船て、ずいぶん昔の話ですね。私はまだ生まれてません。そうれはそうと、お昼ご飯はどうしますか。
真鍋:せっかく香川県に来たんだから讃岐うどんだろう、丸亀なんだから丸亀製麺でいいのでは…。ではどこに丸亀製麺があるか調べてくれ。
じぇ:了解です、マスター、で調べた結果ですが、丸亀には丸亀製麺はありません。それどころか、香川県には丸亀製麺が高松に一つあるだけで他の県に比べて異常に少ないです、なぜでしょう。

真鍋:それはあれだな、ディープな讃岐うどんの信奉者が、丸亀製麺は丸亀と関係ないのに勝手に丸亀を名乗るな、そもそも讃岐うどんを名乗るな、名乗るなら香川うどんとかもちもちうどんとか、違う名前にしろって言っていたのを聞いたことがある。
じぇ:そうなんですね、讃岐うどんに詳しい人は丸亀製麺のどこが不満なんでしょうか。
真鍋:讃岐うどんは足で踏んでこねるべしとか、粘りが足りないとか多すぎるとか、わかめ入れるのは邪道だろうとか…、いろいろと思うところがあるんじゃないか。
じぇ:ガンダムおたくの人でも、どのバージョンのガンダムが正しくてそれ以外は邪道とかあるみたいですから、皆さんそれぞれ好きなものとこだわりがあるんですね。
真鍋:まあそういうことだよ、じぇーんくん。
じぇ:ハンターからの手紙を見ると、端っこのほうに二次元バーコードが入っていて、そこをタップするとどうやらハンターの旅日記が現れるみたいです。
真鍋:ほほう、そんな便利な機能があるのか、ではすぐハンターの消息は見つかりそうだな。
じぇ:それによると、ハンターは丸亀ではなく高松駅の近くのチーズ入りニューウェーブうどんの店にいるみたいですね。
真鍋:そこまでわかればハンターはすぐ見つかるだろう、丸亀で丸亀製麺がたべられないとわかったら、高松でチーズ入りうどんを食べることにしよう。
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真鍋:やっとついたぞ、チーズ入りうどん、おやまあ、なんとたくさんの行列が…。50人は並んでいる感じだが。
じぇ:割と回転ははやいので、30分くらいで順番が回ってきそうです。
真鍋:それなら、並ぶのも仕方がないな。ハンターはこの中にいるのか。
じぇ:ハンターはブログによるとあと5人で店に入れる位置で並んでいるそうです。
真鍋:ハンターは確か飯を食うのは遅かったはず、店内で声をかければ大丈夫だろう。
じぇ:そうですね、私も熱いもの食べるのには時間がかかります、ゆっくりと食べながらハンターを探しましょう。
真鍋:それはそうと、この炎天下に30分待つなら、アイスを食べながら待ちたいものだ、この先のコンビニでアイスを買ってくるから、じぇーんはこのまま列に並んでいてくれ。
じぇ:イエッサー、待っておきます。
列を離れてアイスを買ってうどん屋に戻ろうとするクリムゾン真鍋。
真鍋:じぇーん、アイスを買ってきたぞ、これで30分並ぶのも平気だな。ということで列に戻るとするか。

謎の人:そこの人、割り込みはダメある、私ずっとここで並んでるある、一度列を離れたら列の最後から並びなおすのが常識ある。
真鍋:なんだ、外国の人だな、いいんだよ、日本ではだれか代表で並んでいたら、そこに知り合いが入るのは問題ない。
謎の人:だめある、そんな常識通用しないある、それなら、私は親戚とか呼んで100人くらいこの場所に割り込ませるある、あなたそれでいいあるか。
真鍋:それは困るある、私のせいで後ろの人が迷惑をこうむるのは困るある。
謎の人:わかればいいある、最後に並びなおすある。
じぇ:アイス作戦はうまくいきませんでしたね。
真鍋:そうだな、予定外のハプニングがあって、計算通りにいかないものだ、まあここでもめるのも大人げない、列の後ろに並びなおすか。
じぇ:列を離れてみたものの、なんか行列がさらに長くなって100人くらい並んでますね。

真鍋:これは困ったな、これだと我々が店に入った時点で、食べるのが遅いハンター竜田もさすがに店を出てしまっているだろう、これだと、ハンター捕獲作戦が失敗してしまう。
じぇ:困りましたね、じゃあ今回はハンター捕獲はあきらめて、チーズうどん食べて帰りましょう。

うどんを食べ終わって店をでるクリムゾン真鍋とじぇーん。
真鍋:ハンターの捕獲には失敗したが、うどんはうまかった。結果として満足だな。
じぇ:そうですね、ハンターはまた次の場所で見つければいいでしょう。
真鍋:で、ハンターはどこにいる。高松駅前の丸亀製麺でうどん食ってたりしないよな。
じぇ:ブログによるとどうやら、84番の札所に向かっているみたいです。すぐに84番の札所に向かっていけば会えそうな気がします。
真鍋:その作戦は感心しないな。移動中にハンターが84番から85番に移動してしまえば、いつも後手に回ることになる。
じぇ:それもそうですね、どうしましょう。
真鍋:我々はまず、85番に向かう、そしてそこをお参りした後、84番に向かえば、どこかですれ違うはずだ、その作戦で問題なし。
じぇ:さすがマスター、頭いいですね、うまく行けばいいんですけど…。
真鍋:吾輩の計画は完璧だ、これでハンター捕獲作戦成功は間違いなし。うどんやで待ち伏せて行列に阻まれるよりはるかに建設的だ。
85番にむかう、クリムゾン真鍋とじぇーん。
真鍋:85番の札所についたぞ、では、さっそく用意してきた御朱印帳を開いて御朱印をもらうことにしよう。
じぇ:準備がいいですね、讃岐うどんの店で買ったのですか、その御朱印帳。
真鍋:いや、アマゾンで買った。ついでに、すべて八十八か所のすべての印が押されたコンプリート済の御朱印帳を買おうかと思ったが、さすがにばちがあたりそうなので自粛した。
じぇ:こういう部分は常識があるんですね。
真鍋:そうなんだ、で早速だが御朱印を記帳してくれる記帳場を探そう、どこだろう。
じぇ:こちらに標識があります、こちらです。
謎の老婆:そっちは違うぞよ、御朱印を書くのはそっちの井戸のあたりぞよ。
じぇ:なんだか、微妙に言ってくことがわからないんですが、マスターはわかりますか。
真鍋:そりゃ、じぇーんがのふぞなけんよ、つばえてぎりおったからわからんのぞよ。
じぇ:ますますわからないです、それはいったいどこの言葉ですか。
真鍋:これは、吾輩が生まれた松山の言葉、いわゆる伊予弁というものだ、讃岐の国と伊予の国は隣同士だからなんとなく伝わるものぞよ。
謎の老婆:ほうじゃほうじゃ、そこのお嬢さん、そっちにいったら牛鬼に食われてしまうぞよ、行かんほうがええぞよ。
じぇ:じゃあ、行きません、おばあさんのいう通りに井戸のほうに行けばいいんですね。
真鍋:あれ、突然いなくなったぞ、さっきの老婆は…。牛鬼とか言ってたけどいったいなんじゃろ。
じゃ:ほうじゃほうじゃ、どこ行ったんぞよ、おばあさんは。
真鍋:もう伊予弁はいいよ、それより井戸に向かってもう5分も歩いているけどまったく気配がないぞ、やっぱり戻って標識通りに行こう。
じぇ:そうですね、境内が改装中で迷いやすいですね、ということで原点復帰。
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真鍋:ずいぶんと時間が経ってしまったな、やっと手に入れたぞ、御朱印帳。

じぇ:ずいぶんと立派な絵ですね、これをお遍路参拝者の前で毎回手書きで描くなんて素晴らしい。
真鍋:それもそうだ、では、85番も制覇したから、84番に向かうとしよう。
じぇ:そうですね、遅れ気味ですからさっさと移動しましょう。
タクシーで移動しながら、すれ違う予定のハンター竜田を探すクリムゾン真鍋。
じぇ:なかなかハンターとすれ違いませんね、計算ではそろそろこの辺りを歩いているはずなんですが。
真鍋:微妙に予定が順調に進まないな。なぜだろう。
タクシーの人:お客さん、84番は入り口から記帳場までが近いからすぐ参拝が終わるみたいですよ、逆に85番は迷う人が続出らしいです。
真鍋:なんじゃそら、ということは、予定より早くハンターは移動した可能性があるな。
じぇ:おおっと、マスターこれ見てください。どうやら、ハンターはすでに85番で記帳を済ませた後、86番に向かっているようです。
真鍋:なんとまあ、またすれ違いか。前回のうどん屋でのすれ違いは吾輩の失態として、今回のすれ違いは謎の老婆に関わったじぇーんの失態として、2回も続くとこれはこれでなにか必然を感じるな。
じぇ:そうですね、このままのパターンでは永遠にハンターに会えないかもしれません。
真鍋:わかった、ここは作戦を変えよう。じぇーんは一度、F-LABOに戻って、代わりにクルムシ軍曹に来てもらおう。クルムシ軍曹は芦屋在住だからバスで4時間で来るだろう。
了解です、では私は高松空港から戻ることにします。
しかし、不思議なこともあるものだ、このすれ違いは偶然なのか、必然なのか、
ハンターとのすれ違いに、大きな謎を感じるクリムゾン真鍋。新たに参加するクルムシ軍曹はこの苦境を解決するのに役に立つのか…。
第42回:気がつけばもう9月だ
気がつけばもう9月、驚異的な暑さの8月にもかかわらず、連日ゲーム開発のプログラムに悪戦苦闘するクリムゾン真鍋、暑さにやられて不規則発言が増えるのが心配だが…。はたしてゲームの開発は順調に進んでいるのか。
じぇ:毎日暑いですね、この8月の暑さは異常です、フィリピンでもここまで暑い日はめったにありません。いったいどうなったんでしょうね、日本国は。

真鍋:何十年も前から言われてきた地球温暖化が確実に進んでいるだけだろ、だから私は何十年も前から原発をもっと増やすべきだと思っていたんだが実際には稼働している原発の数は30年前から比べると半分になっている。これじゃあ、暑くなるのは当たり前だ。
じぇ:マスターは原発推進派でしたね、それはそうと、もうすぐハンターが異世界に行って1年ですね。確か去年の10月くらいに沖縄の灯台から異世界に旅立ったはずですが…
真鍋:あちらの世界で元気でいてくれればいいんだが…
じぇ:そういえば、昨日ハンターさんから手紙が来てましたよ。名前が書いてないので誰からわからなくてそのまま放置してましたが、あの字にはそういえば見覚えがあります。
真鍋:そうか、無事にあちらの世界から帰ってきたみたいだな。確かあちらの世界はカルボニアって言ってたっけ、どれどれ、中身を確認すると…
竜田:「手紙」ひさしぶりやんけ、もう沖縄旅行から1年がたったやんけ、ということはクリムゾン真鍋がいなくなって1年だが無事に帰ってきたのか。気になって手紙書いてみたが、気が向いたら返事するやんけ。

真鍋:おかしい、私はどこにも行っていないぞ、そもそも1年前に沖縄で黒豚の子供と一緒にあちらの世界に旅立ったのはハンター竜田だろう、この手紙によるとあちらの世界に旅立ったのは私だと言ってるがいったい何が起きたんだろう。
じぇ:あの事件からもう1年なんですね。のんびり沖縄旅行にいくつもりが竜田さんが行方不明になるとは大変なことになりましたが、この手紙からだと理由がわかりません。
真鍋:なかなか不気味な話ではあるが、この手紙自体が誰かのいたずらかもしれん。根本に立ち返って考えてみよう。
じぇ:マスターは確か、ハンターの実家をご存じでしたね。古井戸とか古い蔵とかがある実家。そのハンターの実家を訪ねてみたらどうなるんでしょうね、行方不明の人として捜索願が出ているかもしれませんが。
真鍋:まあ、その問題に首を突っ込むと、せっかく順調にきているデスクリムゾンの新作を開発するというプロジェクトが頓挫してしまう、あまり関わらないほうが得策だ。
じぇ:なんか冷たい…
真鍋:そういうものだよ、じぇーんくん、縁があれば涅槃でまた会えるだろう。
せっかくのハンター竜田からの手紙をそっけなく扱うクリムゾン真鍋。暑さのあまりに思考力がなくなっている気配がする。
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じぇ:この前のニンクリ物語では東京湾観音に行きましたがあれが6月、あっという間にもう三か月も経過しましたね。
真鍋:じぇーん君は行っていないだろう、たしか宗教上の理由で参加しなかったはずだ。
じぇ:レポート読みましたから状況は把握しています。
真鍋:月日の経つのは早いものだ、このデスクリムゾンネオのプロジェクトももう始めてから3年、いままでにない長期間のプロジェクトになっている。
じぇ:香港でのんびりしていたマスターが、社会復帰してもう3年になるんですね。
この3年間の開発の履歴を思い出しながら、物思いにふけるクリムゾン真鍋。
ぴんぽーん、元気よく呼び鈴がなる。時計を見るとちょうど朝の10時。
猫又:おはようございます、いろいろ用事がたまっていてお休みしていましたが、今日から本格的に復帰です。
真鍋:おお、猫又くんか、久しぶりだな。これ以上ヨハネスブルクに旅立つ奴が増えると困るところだったが、無事に帰ってきてよかった。で、いろいろな用事は片付いたか。復帰した勢いで、予定通り9月末まで全力でデスクリムゾンネオの開発を進めることにしよう。
猫又:賛成です、で、僕が1か月の休暇の間に何か進捗はありましたか。
真鍋:あるといえばある、全体のゲームシーケンスを作ったのだが、デモループを12回くらい回すと不自然なフリーズが発生して困っていたところだ。
猫又:不規則なフリーズに悩まされるとは、開発もいよいよ終盤ですね。
真鍋:そのとおり、で、プログラムを徹底的に見直したらいくつか危険なバグの芽が発見されたんだが、それに対策をしても、頻度は減ったが4時間に一回くらいのフリーズがまだ取り切れていない。
じぇ:4時間に一回くらいフリーズするのは問題ないのではないでしょうか。
真鍋:スマホゲームだから、アーケードゲームのように、店舗の営業時間である18時間ずっと正常に稼働することが求められているわけではないが、このような不自然なフリーズを放置すると後でひどい目にあることは間違いない。

じぇ:時々フリーズするのはデスクリムゾンの特徴、心が温かなクリムゾナーの人は見逃してくれるのではないでしょうか。
真鍋:クレームは来ないだろうが、話のネタにされるのも嫌だな。それにファンの恩情にすがったゲーム制作はやりたくない。それくらいなら、私は潔くマウスを置く。
猫又:とりあえず、僕は新しいキャラモデルの制作を始めます。それに長期間、洞窟に閉じ込められていたハチコウのデータも作らないといけませんね。
真鍋:ハチコウ、ああ、八並康の話ね、確かエルミで鉱山に放置されてそのまま25年近く経過したはずだが、もしリアルタイムでハチコウが年をとっていたらいまは40歳を超えている計算になる。

猫又:念のために40歳のハチコウを作っておきます。渋いイケおやじみたいな感じでいいですか、それともエルミで鉱山の中に生息する巨大コウモリを食べすぎたせいで小太りのおじさんになっているほうがいいですか。
真鍋:小太りのおじさんになったハチコウは必要ないだろう、ハチコウはあれはあれで微妙に人気があるんだ、やはり冷凍睡眠か何かで当時と同じ年齢という設定のほうが良い気がする。
猫又:了解です。
真鍋:当時のデータをそのまま使えばいいんじゃないか。3Dスタジオマックスのデータがあるはずだ。
猫又:実際にそれを使おうして調べてみたのですが、当時と3Dスタジオマックスのバージョンが大きく変わっていて正常に読み込めないようです。当時はまだFBXというデータ形式もなかったですし…。
真鍋:そんなものかな、それは面倒な。
猫又:それに、2000年ころ主流だった3Dスタジオマックスもいまではすっかり影が薄くなりました。2000年代に入って、Mayaが徐々にモデリングソフトの主流になってきて、さらにUNITYの発展とともに、3Dスタジオマックスの操作に似たブレンダーというソフトがでてきて、これが無料で使えるようになったことで世の中大きく変化してしまいました。
真鍋:そうか、私が最前線で3次元モデルを作っていたときはソフトイマージが主流だったが、いまでは大きく変化して、3Dマックス全盛時代、それからMayaが台頭してきてそれもいいまではブレンダーにとって代わっている。なかなか世の中の移り変わりは激しいものだな。
猫又:ということで、ハチコウのデータは使えません。2010年くらいにハチコウのデータを3Dスタジオマックスで読み込み、FBX形式にしておけば問題なかったのですが、いまではそのころのバージョンの3Dスタジオマックスは入手できません、そもそも、WindowsがVistaとかなので、動くマシンが手に入らないと思います。
真鍋:要するに古いデータを使うのはなかなか厳しい状況なわけだな…、私の抱えているプログラム部分の深刻なフリーズ、古いデータの互換問題、細かくややこしいことが多くなってきた。
じぇ:だいぶ心が病んでいますね、気分転換にどこか旅行でも行きませんか。
真鍋:それはよいことだ、私は以前から2025年になったら、四国の八十八か所巡り、お遍路の旅を始めようと思っていた。ちょうどよい機会だからお遍路に行ってくるか、猫又くん、一緒に行くかい。

猫又:僕はハチコウのモデル制作が忙しいので一緒には行けません。
真鍋:なんだ、じゃあ、クルムシ軍曹でも誘っていくか、確か先日話をしたところではまあまあ暇そうだったし。じぇーんは来るよな。
じぇ:私はクリスチャンなので、宗教上の理由からお寺の中には入れません、前で待ってます。
真鍋:おやおや、それは面妖な。じゃあ、メンバーはおいおい考えるとして。まずは、香川県からスタートしよう、讃岐うどんを食べて、車でお遍路。

車ではだめなのでは、歩かないとお遍路にはなりませんが…。
車の中で足踏みしていればいいだろう。
じぇ:あれ、マスター。このハンター竜田からの手紙を最後まで読んでみてください。なにか不思議な縁を感じませんか。
真鍋:どれどれ、面倒だから放置していたが面白いことが書いてあったか。
竜田:「手紙」ワイはクリムゾン真鍋がいなくなって世の中の無常を感じたやんけ。よってワイは自分を見つめなおすためにお遍路の旅に行くことにした。八十八か所を回るうちになにか心のよりどころが掴めるかもしれんやんけ。
真鍋:なんとまあ、この手紙によるとハンター竜田もお遍路に回っているのか。では、吾輩は逆回りでお遍路を進めることにしよう。そうすればどこかでハンター竜田とすれ違うこともあるだろう。
じぇ:それはいい考えですね。車で回って難易度の高いお寺はネットの動画で参拝する。バーチャルインチキお遍路ということで、流行になるかもしれません。
不思議な縁に導かれてお遍路に行くことになったクリムゾン真鍋。始まりは4時間に一回のフリーズ発生の現実から逃避するための四国のお遍路。志の低いお遍路の旅に出かけるクリムゾン真鍋だが、ハンターの手紙の謎は明かされるのか。そんななか、F-LABOで黙々と開発を続けるディンガ猫又。がんばれ猫又、デスクリムゾンネオの未来は猫又の双肩にかかっているぞ。
第41回:旅するニンジャクリムゾン2025
いよいよ、旅するニンジャクリムゾン2025が今週末となりました。今回のニンクリ物語で正式告知を行います、といってもイベント4日前に正式告知とは手遅れかもしれませんがここは、やらないよりやったほうがいいの精神で進めようと思います。

じぇ:いよいよ、恒例のエコール主催のファン感謝イベント、旅するニンジャクリムゾン2025が今週末になりましたね。
真鍋:ああ…
じぇ:なんか、気のない返事ですが、なんか嫌なことでもありましたか。それとも言い出したもののイベントやるのが面倒になってきたとか。
真鍋:イベント自体は楽しみにしているので問題ないが、最近めちゃくちゃ暑いから炎天下を電車と徒歩で移動する計画だと、熱中症で倒れるクリムゾナーが続出するのではないかと心配でな…
じぇ:そもそも、クリムゾナーって、傭兵の集まりの軍団みたいなものですよね、それなら、炎天下を1時間歩くとかは、佐藤レベルだとダメージ食らいますが、傭兵だったら平気なんじゃないでしょうか。
真鍋:それは、昔の話。デスクリムゾン発売から既に30年経過して、クリムゾナーたちも高齢化が進んでいる。プロの傭兵レベルだと、すでに工作兵とかになって前線には出ず、補給の食料を整理したり、武器の掃除をしたりする役割だ。到底前線での行軍に耐えられるとは思えん。
じぇ:それなら、暑さを感じた時点でタクシーに乗ればいいんじゃないですか。GRABとか使えば簡単に移動できそうですが。
真鍋:日本ではGRABはほとんど普及していない、ウーバーも同様で、日本ではまだまだタクシーが主力なのは昭和時代と変わりがない。
じぇ:フィリピンだとGRABはめちゃ便利ですよ、私もよく利用してます。日本にGRABがないのなら、潔くタクシーに乗ればいいんじゃないんですか。
真鍋:まあ、そういうことだ、あまり気にせず、当日考えることにしよう。ここは傭兵精神で現場合わせで問題ないだろう。
じぇ:では、イベントの告知書いておきますね。

じぇ:クリムゾナーの皆さん、元気ですか…。いつものこのニンジャクリムゾンの旗の元に集合です。
コードネームはTNC2025
■開催日:2025年7月5日土曜日
■集合:朝10時に千葉県、木更津の「ガスト木更津中央店」(木更津駅から徒歩15分くらい)
■住所:〒292-0067 千葉県木更津市中央3丁目9-6
※店内で待ち合わせ、店の前で待ち合わせ、いずれもOK。
■目印:ニンジャクリムゾンの旗。
■行動予定:集合:10時頃 ガスト木更津中央店→JR木更津駅→佐貫町駅→東京湾観音見学→浜金谷駅→東京湾フェリーで久里浜→JR久里浜駅→JR大船駅→大船観音見学→大船で宴会 解散:17時頃。
■参加費:行く先々で必要な電車代、フェリー代など各自実費負担、宴会代は割り勘。イベント自体の参加費は無料
■テーマ:ニンクリ物語に登場する「白くて長いもの」を実際に見に行くこと。
■やること:観音様を二つ見学、東京湾フェリーで千葉から神奈川にワープ、いつもの宴会。
■参加表明:当日集合場所にくれば参加OK。Xにて当日の行動は実況します。Xへのリツイートで参加表明してくれるとなお確実。
■予想参加人数:15人くらい。初心者の方も歓迎デス。
■途中参加、途中離団OK、現在の位置はツイッターで随時書き込みます。ツイッターのフォローよろしく。
https://twitter.com/ecolemanabe

真鍋:去年に続き、今年も実施だから去年のテンプレートが使えてなかなか便利だな。
じぇ:流用と手抜きが得意技のマスターにとっては定例行事化は好都合ですね。で、今年は開発メンバーはいらっしゃるんですか
真鍋:ディンガ猫又くんは8月末の大事な用事があって忙しいので不参加、チョモランマは今年受験生なので模試とかが目白押しで不参加。クルムシ軍曹は関西でイベントがあって不参加。じぇーんは来るよな。
じぇ:私は宗教上の理由で、観音様には行けません。クリスチャンなので。
真鍋:なんだ、結局だれも開発メンバーは来ないのか。まあ、もしかしたらこれまでエコール作品やデスクリムゾンの開発にかかわった過去のメンバーが飛び入りで参加してくれるかもしれん。それに期待しよう。
じぇ:やはり、マスターの人徳のなさはここにきて大きな悪影響が…
真鍋:まあ、しかたなかばい。
告知が終わってホッとするクリムゾン真鍋
じぇ:そういえば藤沢開発室のエアコンのリモコンが壊れていましたね、どうしましょう。新品を買うとたったの8500円だそうですが。
真鍋:リモコンに8500円も出すなら、UNITYのアセットストアで新しいキャラクターのモデルでも購入したほうが有意義だな。新品を買うのは却下する。
じぇ:今年の夏はめちゃくちゃ暑いですよ、6月から30度越えが連発で、エアコンなしだと開発に差しさわりがあるのでは…
真鍋:仕方がない、ここは私が原子動力実験棟、通称「核動」で鍛えた技術力で解決しよう。ジャンク部品をメルカリで1000円で買っておいた。これで大丈夫だ。
じぇ:あれ、元のは基盤が破損してますが、フラップのスイッチは正常。ジャンク部品は基盤は正常だけと、フラップのスイッチが破損。単純にフラップを交換すればいいわけではないみたいですよ。
真鍋:では早速分解して…、こんな感じだ、これに以前から用意しているハンダ吸い取りリボンをつかって、スイッチについたハンダを吸い取って外すんだ。

真鍋:外したスイッチをきれいに掃除して正常に動くジャンク基盤に移植すれば問題なし。これが外したスイッチだ、左がヘッド部分が破損している。

じぇ:へえ、そんなことができるんですか。なかなか核動って凄いところなんですね。
真鍋:そりゃそうだ、液体金属の実験装置つくっていたりするからな、まあ、私は近くて見ていただけだが。
じぇ:私には無理な作業なので、マスターよろしくお願いします。
真鍋:よっしゃー、これで完成だ。

真鍋:さっそくじぇーんが試運転してくれ。
じぇ:わかりました、ではスイッチをピコっと押して…
おや、普通にきちんと動きましたね、さすがマスター。
ハンダは吾輩のそこそこ得意分野だ、驚くことはない。
ということで、今週末のイベントに向けてなんの準備をするのかと思えば、お気楽にリモコンの修理をするクリムゾン真鍋、こんなことでイベントは無事に終了するのか。本格的に旅するニンジャクリムゾン2025の先行きが心配だ。
第40回:ヨハネスブルクからの帰還
ここ半年以上もニンクリ物語の更新がなくいつものように面倒になって逃亡したか、パチンコで勝ち続けてゲーム制作どころでなくなったか、それともハンター竜田の消息を探し回って世界中飛び回っているのか、ついにクルムシ軍曹が重い腰を上げて行方不明のクリムゾン真鍋を探して調査に向かう。

クル:看板があるし、ここがエコール社の藤沢ラボなのは間違いない、こんにちは、クリムゾン真鍋、いますか。
・・・・
クル:何も返事がない、本当に留守なのか、ただの居留守なのか判別しないといけない。そうだ、例の作戦でいこう。
クル:トントントン、宅急便の配達です、ふるさと納税でご注文のお米10キロお持ちしました。お留守ですか、留守なら私がいただきますが。
じぇ:お米ですか、お疲れ様です。そこに置いといてもらえますか。
クル:ああ、あなたはじぇーんさんではありませんか、噂には聞いていましたがお元気そうで何よりです。
じぇ:あれ、お米はどこでしょう、最近お米が去年の3倍くらいの値段になったのでパンばかり食べてます。
クル:残念ですが、宅急便の配達というのは嘘です、そう言わないとクリムゾン真鍋が釣れないかと思って、でも代わりにじぇーんさんが釣れてよかった。で、クリムゾン真鍋はいますか。
じぇ:マスターは、F1中継見ながらぼーっとしてます。角田選手の成績が芳しくないせいか、やる気が全くない感じです。マスター、クルムシさんが来られましたがどうしますか。
のそのそと、起きだして玄関に現れるクリムゾン真鍋。
クル:なんだ、いらっしゃるんですね、クリムゾン真鍋。てっきりゲーム制作に行き詰ってヨハネスブルクに逃亡したのかと思いました。
真鍋:ヨハネスブルクに逃亡したのはチョモランマだ、なんでも去年の10月あたりに、近いうちに鉄緑会のクリスマス模試があって、すごく大事な試験だからしばらく旅にでるといってそれっきりだ。
クル:ええ、それじゃあゲーム制作はどうするんですか、プログラマーがいないと進めないじゃないですか。
真鍋:ゲーム制作においてプログラマーがいなくなることは日常茶飯事、特に珍しいことではない。
クル:とはいっても、プログラマーなしではゲーム制作は続けられないし、またいつものようにこのプロジェクトは頓挫して、ニンクリ物語は今回で最終回ですか。
これまで何回も見てきた光景に、特に驚くこともなく淡々と話を進めるクルムシ軍曹。
真鍋:チョモランマがいない間、私がプログラマーの代行をやることにする。
クル:ええ、そんなの可能なんですか。確かにクリムゾン真鍋がダイナウェア時代にはプログラマーをやっていたという話は聞いたことがありますが、実際何十年も現場から離れていて急にC#とユニティのプログラムができるとは思えません。
真鍋:まあ、そういう考え方もあるが、人間頑張ればなんとかなるもんだ、それに今回作品の骨格部分はチョモランマが作っていったから、これを改造するだけならなんとかなる、プログラムは吾輩のもっとも得意とするジャンルだ。
クル:ナベツネが訴訟を食らったときに言ったセリフのパクリですね。要するにクリムゾン真鍋がプログラムを兼任で作業を進めるということでしょうか。
真鍋:厳密にいうと、兼任ではない、専任だ。プログラムは片手間にできるほど甘いテーマではない。
クル:プログラム専任なら、企画や広報は誰がやるんですか、もしかしてじぇーんがやるとか。
じぇ:私はメイドだから、企画も広報もやりません。主に料理と洗濯と掃除が仕事なので…

クル:ますます訳がわかりません、プロジェクト頓挫ならさっさと宣言してしまったほうがいいのでは。
真鍋:それは困る、結構困る、なぜならゲーマー鹿山とかハンター竜田がこのプロジェクトに関連して異世界に行ってしまった。このプロジェクトが頓挫すると彼らと二度と会えなくなる。それは大変困る。
クル:すっかり忘れてました、僕が見つけてきた大船のカフェで行方不明になったのがゲーマー鹿山、沖縄の灯台で消えたのがハンター竜田でしたね。大船のカフェだと僕も状況次第では異世界に飛ばされることもあっただろうし、気になります、ふたりがどうなったのか。
真鍋:まあ、二人とも極めて要領がいいし、行動力も体力もあるから、たぶん異世界でも頑張っているだろう、もしかしたら異世界の王様とかになって、綺麗なお姉さんたちにかこまれてウホウホ言ってるかもしれないな。
クル:そうかもしれませんが、逆に二人とも鹿とかカバとかにされて、牧場で囲い込まれて、すでにステーキとかになっているかもしれませんね。
真鍋:まあ、たぶん大丈夫だろう、そんな事情で私がプログラマーを専任でやることになったので、ニンクリ物語がこうやって半年以上も停滞することになったわけだ、わかったか。
じぇ:ニンクリ物語については、私がメイドの日常を散文形式で更新しようと提案したのですが却下されました。
真鍋:一応ゲーム制作の流れを皆さんにお伝えするために書いているブログなんで、アイロンのかけ方とかレクチャーされてもみんなが困る。
クル:で、ずっと、この体制で制作を進めるんですか。
真鍋:よいところに気が付いたね、クルムシ軍曹。実は、今回のゲームについて、この半年間徹底的にプログラムをブラッシュアップしてきたのでプログラムの作業はもうそんなに残っていないんだ、そろそろ素材を集めて組み込む段階にきているので、専業プログラマーはこれで終了、これからは兼業プログラマーとして行動する。
ぴろぴろぴーん
じぇ:おや、誰かからメールが届いたみたいです。
真鍋:どれどれ、誰からだろう、おや、これは行方不明のチョモランマからじゃないか、なんだろう。
チョモ:お久しぶりです、お元気ですか、僕は元気です。
真鍋:なんか、定番の頭悪そうなメールの始まりだな、で、続きはと…。
チョモ:で、ヨハネスブルクに行っていたというのは嘘で、本当は自由が丘でこもって勉強していました。ついでに例のものもゲットしました。
真鍋:例のものって何だろう…、文明堂のカステラ三本とかかな。どれどれ、添付ファイルに写真がある。

チョモ:ということで、晴れて柔道部で黒帯をとることができました。凄いだろ。
真鍋:確かに黒帯とは様になるな、柔道やってていつまでも白帯では恥ずかしい限りだ。しかし、黒帯になったらチョモランマの名前どうするんだろう。
チョモ:それから黒帯とったらチョモランマ桐から加納桐太郎に名前を変えるという話ですが、チョモランマ桐の名前、結構気に入っているのでこのまま名前は変えないことにします。
真鍋:そうか、それがいい、せっかく覚えてもらった名前をむやみに変更するのはいかんな。
チョモ:ということで、近いうちに会いに行きます。クリムゾン真鍋が俺の美しいプログラムを汚くしたんじゃないかと心配なので、チェックしないといけません。
真鍋:なんと、生意気な、私のほうが綺麗なプログラムを書いてるぞ。
クル:まあ、せっかくチョモ君がヨハネスブルクから帰ってきたことですし、ここは言いたいことはこらえて大人の対応ということでいきましょう。
じぇ:賛成~です。それはそうと、せっかくだから何か言いたいことがあったんじゃないですか。
真鍋:そういえば忘れていた、エコール恒例のクリムゾン真鍋主催の年に一回のイベントを今年も実施することにした。
じぇ:前回の猿島からもう1年たったんですね。
真鍋:集え、傭兵ども。ニンクリの旗の元に。

真鍋:そうそう、今回は長くて白いもの探索に行く。まずは、東京湾観音を見学する。そのあとは、東京湾フェリーに乗って久里浜経由で大船観音を見学だ。
じぇ:観音ツアーですね、最近は日本中の観音様が老朽化で取り壊しになっているとのことで、無くなる前に早めに行ったほうがいいですよね。
真鍋:ハンター竜田の例もあるし、白くて長いものからジャンプすると、異世界に行ってしまうかもしれない。今回イベント参加の数名が、異世界に行った時のことを考えて、最後の大船での宴会は人数を3人ほど少なめに予約しないといけないな。
それはそうですね、2人くらい異世界に行ってしまうと思います。
そうと決まったら、来週には正式に告知だ、7月5日土曜日、朝10時に木更津のガスト木更津中央店に集合だ。
自分で言い出したイベントの予定が近づいて切羽詰まってニンクリ物語を更新するクリムゾン真鍋。プロジェクトはまともに進んでいるのか、不安は募るばかり。
第39回:いわゆる異世界へ…
偶然、黒豚の子供を手に入れて、辺戸岬に向かう、ハンター竜田とじぇーん、そしてクリムゾン真鍋。大雨の中、辺戸岬に到着する。
竜田:着いたやんけ、辺戸岬。あれ、急にあたりが明るくなって…。雨がやんだみたいだ。

真鍋:先に見えるのは与論島ではないか、さすが沖縄最先端。
竜田:そうやな、あれはまさしく与論島、この海峡が沖縄県と鹿児島県を分離する境と思うと歴史の意味を感じるやんけ。
真鍋:以前は、日本の最南端は与論島、そこからアメリカに統治された沖縄をみるのはどんな気分だったんだろう。

じぇ:分断された歴史の島なんですね、与論島は。
真鍋:大学生の頃、与論島に初めて行って、島に一つしかない信号機というのを見学して、その後サトウキビ畑の間をぬってできた農道を原付バイクで走り回ったものだ。
じぇ:いわゆる、昭和の暴走族ってやつですね。

真鍋:まあ、根本的な思想には共通するものがあるな。圧倒的な開放感とかね。
竜田:雨も上がったことだし、灯台を目指していこう。しかし、この黒豚の檻は重いな。
じぇ:それなら、檻は車に置いといて、この子は私が抱っこしていきます。もう少しでトンカツにされたかもしれないのに、脱走できて良かったね。
真鍋:黒豚の人生なんて儚いものだ、我々も生きている限り命を燃やし尽くさねばならん。
じぇ:この看板の横を通って先に進むと灯台があると書いてます。

竜田:黒豚の檻を持たないと、スムーズに進むやんけ、前に見えるのが辺戸岬の灯台やんけ。

出典:海上保安庁ホームページ
真鍋:では早速、始めようか。八熊伝の指示に従ってハンター竜田は灯台に登っていってくれ、黒豚の子供はじぇーんが連れて行くだろう。灯台の上に到着したら、何も考えずにジャンプだ。白くて長いものから飛び降りると異世界に行けるはずだ。
竜田:それは違うやんけ、異世界に行くのはクリムゾン真鍋やんけ、ワシはまだ蔵の片付けが残っているから、それが終わってから追いかけるやんけ。
真鍋:異世界には、ちょこっと行ってすぐに戻って来れるのか。1時間位で戻ってこれるなら、ホテルのバフェに間に合うから問題ないんだが。

竜田:八熊伝によると、異世界とこちらでは時間の進み方が違うらしい。ということで、戻ってくるのは明日の夜になるやんけ。
真鍋:そりゃ困る、今日はあんまり飯を食っていないし、ホテルのバフェを楽しみにしているのに、明日帰って来るのでは困る。ここは、この大役は竜田さんにお任せする。
竜田:そりゃ困ったな、じぇーんちゃんはどうや、異世界に行くのは楽しいやんけ。
じぇ:ミンダナオ島からきた私にとっては、日本にいる事自体がすでに異世界に行ってるわけで、ここから更に異世界に行くと、元の世界に戻ってしまいます。
竜田:そりゃ困ったな、じゃあ、とりあえず三人で灯台の上に上がって、そこで誰が行くか決めるやんけ。ここはモノポリーで決めるということにするやんけ。
真鍋:モノポリーは私の最も得意なテーマである、いつでも受けて立とう。
風雪の中、辺戸岬の灯台に上がる三人と一匹。
竜田:では、頂上についたから早速モノポリーを始めるやんけ、じぇーんちゃん、まずこの紙幣を配ってくれ。

じぇ:風が強くて紙幣は無理です。ここはペイペイで精算するのはどうですか。
真鍋:それだと、ゲーム賭博になるだろう、現金賭けるのはだめだ。
じぇ:確か日本の法律では、現金を賭けた賭博は駄目だけど、これは電子マネーなので良いのではないでしょうか。
竜田:硬いこと言わんでええやんけ、もともと屁理屈こねるのがクリムゾン真鍋の得意技、屁理屈こねてると夕飯のバフェに遅れるやんけ。
真鍋:そりゃ困るな、じゃあ、ここは現実出来な解決で、ペイペイを使って精算しよう。しかし、ボードを並べる台がないな。
竜田:この黒豚の背中にボードを貼り付けるやんけ、いまはぐっすり眠っているから、少々テーブル代わりに使っても問題ないやんけ。
真鍋:それもそうだ、では早速、ボードを黒豚の背中に固定してカードを配って…。
じぇ:サイコロはどうしますか。ちょうどこの子のご飯用にお茶碗を持ってきていますので、これ使いますか。
真鍋:それはいい考えだ、では早速私がサイコロをふるとして…、チンチロリン。おや、いきなり刑務所行きだな、なんとこれは不幸な。
竜田:次はワシの順番やんけ、チンチロリ~~~ン。いきなりボードウォークが取れたやんけ。
真鍋:なんか、インチキ臭くないか、いきなりボードウォークがでるのはおかしい。
じぇ:つぎは私ですね。と思ったら、急に風が強くなってきて…。ああ、大変、黒豚の子供が起きたみたいですね。
竜田:暴れたら駄目やんけ、ボードがゆらゆらして、ワシのボードウォークからコマがこぼれ落ちてしまう。
突然、空から一匹の黒い影が飛来する。
竜田:駄目だ、クリムゾン真鍋。カラスがワシのカードを全部持っていった。大混乱だ。

じぇ:黒豚といい、突然現れたカラスといい、なんかややこしいですね。マスターはカラスは嫌いですか。
真鍋:実は私はカラスはそんなに嫌いではない、鳩のほうが気持ち悪い感じだ。
竜田:ということで、モノポリーの結果により、異世界に飛び立つのはクリムゾン真鍋に決定やんけ。
真鍋:なんで、そういう結論になるんだ、納得行く説明をしてもらおうか。
竜田:刑務所に入ったのはクリムゾン真鍋だけ、じぇーんちゃんとワシは資産を増やしている。犯罪者のクリムゾン真鍋は、さっさと異世界に行ったほうがいいやんけ。
じぇ:もしかして、異世界は凄く楽しい所かもしれませんよ、竜宮城の話みたいに、美味しいバフェと美女に囲まれた、酒池肉林の世界かも。
真鍋:まあ、確かに私だけが刑務所に入ったわけだから、その話にも一理ある。竜宮城の話も確かにそうだ。ということで、ここは私が異世界に向かうことにしよう。
竜田:それは良い心がけだ、もし異世界が良いところだったら、電報でも送ってくれ、すぐに追いかけるから。
じぇ:では、準備しますね。この黒豚の子供を背中に乗せて…。しっかり固定して。
真鍋:背中は持ちにくいから、頭の上に乗せることにするよ。
その時、三人の後ろから黒い影が忍び寄る。いきなりクリムゾン真鍋の頭に乗せた黒豚を奪っていく。
黒い影:黒豚は確かにもらった、八熊伝に記載されていた、伝説の純血の動物が黒豚とは気が付かなかった。
真鍋:お前は、クロニン田村。突然現れて、異世界への鍵を奪っていくとは、失礼なやつ。
田村:奪われる方が悪いんだよ、さる高名なお方の指令により、純血な動物の剥製をたくさん集めてきたが、どうしても扉が開かなかった。まさか、黒豚とは思わなかった。
じぇ:それは違うんです、たまたま高速道路で轢かれそうになっていたのを助けただけで、その子はそんなんじゃありません。
田村:そんな言い訳が通用すると思うのか、甘いんだよ、てめーらは。
その時、ハンター竜田が、音もなくクロニン田村の後ろに忍び寄る。黒豚を取り返そうと揉み合う、ハンター竜田とクロニン田村。
竜田:お前だな、うちの蔵から八熊伝を持ち去った野郎は。うちの蔵を荒らすやつは許さんやんけ。
田村:ふふ、お前が竜田家、三十七代当主のハンター竜田。お前の蔵からは楽しそうなものをたくさん頂いた。
竜田:他にもものを持ち出していたのか、この犯罪者。
田村:我々忍者にとっては大事なものであっても、オトクしか興味がない竜田家当主にとっては不要なものだ、それらを我々が持ち出して、何が悪い。
その時、背後から巨大な動物が竜田と田村に突進する。激しい音と、鋭い閃光、そして二人の悲鳴とともに、あたりが光りに包まれる。
真鍋:一体何が起きたんだ、それに、ハンター竜田と、クロニン田村の姿が見えない。黒豚の子供も…。
じぇ:マスター、私にははっきり見えました。巨大なカバが二人の背後から突進し、黒豚の子供を咥えたまま、クロニン田村とハンター竜田を弾き飛ばしながらそのまま、灯台から崖の下の海に落下しました。

真鍋:そうだったのか、ハンター竜田、異世界に行ってしまったのか。クロニン田村も一緒に行ったのか。
じぇ:ハンター竜田が言っていた、八熊伝に書かれた予言。白くて長いものの頂上から純血な動物と共に落下すると異世界への扉が開く。この条件が成立したみたいですね。
真鍋:それは災難だな、ハンター竜田は蔵の片付けが中途半端なままで終わって、さぞかし残念だろう。
じぇ:突然現れたカバは、黒豚の子供を襲ったみたいですね。もともとカバは草食なのに、なんで黒豚の子供を襲ったのでしょうか。
真鍋:わからん、すべてが謎だ。
急に風が強くなり、モノポリーのカードが風に舞ってあたりを埋め尽くす。一枚のカードがクリムゾン真鍋の顔に張り付く。
真鍋:なんだ、このカードは…、これは、ボードウォークのカード。いったいこれは何を意味するんだろう。
じぇ:きっと竜田さんがマスターに助けに来てくださいって意味かと思います。
真鍋:むむむ、急にハプニングで私が異世界に行く話はなくなったが、竜田とクロニン田村、そして黒豚の子どもとカバが、異世界にジャンプしたのか…。
じぇ:なにか、よく見るとヒントがあるかもしれません。ボードウォークのカードをよく見てみましょう。
真鍋:よく見れば、カードの端っこに、文字が見えるが、小さ過ぎでよく見えない。
じぇ:見てみますね、どうやら、カルボニアに向かう…って書いてます。何なんでしょうか、このカルボニアと言うのは。
真鍋:異世界の名前がカルボニアということなのか…、それにしてもどんな場所なんだろう、カルボナーラならわかるが、カルボニアと言うのは聞いたことがない。
私も聞いたことがありません。もうすぐバフェの時間が終わりますね、戻るなら今すぐですが…
そうだな、戻ってバフェでも食いながら、ハンター竜田の思い出でも語ることにするか。
予定外のハプニングで、自分が異世界にいくことを回避できて、地味に喜ぶクリムゾン真鍋。果たして、クリムゾン真鍋はハンター竜田を救出に向かうのか、それとも無慈悲に竜田を見捨てるのか。
第38回:純粋な血統の動物はどこに。
大雨の中を、軽トラではない軽自動車で辺戸岬に向かうハンター竜田とクリムゾン真鍋、それにじぇーんの三人。軽自動車の天井には土佐犬を入れる籠が載っている。
竜田:では出発するやんけ、その前に純粋な血をもった動物を捕獲しに行くやんけ、どこにいけば純粋な血をもった動物がいるのかクリムゾン真鍋が調べるやんけ。
真鍋:ええ、そういう話なのか、急に言われても困るな。沖縄の固有種というとヤンバルクイナとかだろう。とりあえずヤンバルクイナ保護センターに行ってみるか。
じぇ:私、ヤンバルクイナ見るの初めてです、凄く楽しみ~。
真鍋:クロニン田村の黒い野望が見え始めているのに、じぇーんはお気楽でいいな。
竜田:さっそく「ヤンバルクイナ生体展示学習施設、クイナの森」に到着したやんけ、さっそく中に入って見るやんけ。

真鍋:おお、いたいた、なかなか可愛い鳥じゃないか、あちらの枝の影からこちらをうかがってる子がいるな、こっちにくるぞ、気をつけろぉ。
竜田:ヤンバルクイナはおとなしい鳥だから、気をつけなくていいやんけ。
じぇ:なんか、鳥なのにニコニコしてますよ、ヤンバルクイナって愛想がいい鳥なんですね。

真鍋:鳥は爬虫類の進化型だから、笑わないだろ、そもそもニコニコしているというのは気のせいだよ、じぇーんくん。
じぇ:私には笑ってくれたような気がします。相手を見てるんじゃないですか。
真鍋:私は鳥が嫌いだ、昔からニワトリとか、セキセイインコとか、カナリアとか、いろんな鳥類を飼ってきたが、最後に気がついたのは、私は鳥が嫌いだ…、って事実だけだった。
じぇ:なんだか悲しい子供時代だったんですね、マスター。
真鍋:いまでも動物より、機械に愛情を感じる傾向がある。カナリアより、スウェージロックみているほうが、心が休まる。

竜田:スウェージロックみて萌えとは、ただの変態やんけ。なんでそんなにひねくれてしまったんだ、クリムゾン真鍋は。
真鍋:そりゃ、大学時代に原子動力実験棟で、高速増殖炉用の液体リチウムループの研究をしていたとき、厳密に言うと研究室の同僚が液体リチウムループの研究をしていたのを見ていたときに、スウェージロックの締め方一つで、大事故になるという現場を見てきたからな。トルクレンチを使って締めても、微妙なさじ加減で漏れたりする。
じぇ:そんなに微妙なものなんですね、リチウムは。

真鍋:締めすぎても、締めなさすぎてもだめ。ちょうどよい締め方を指先の感覚で覚えることが大事。
竜田:ワイは計算機センターにいたからよくわからんが、厳しいノウハウがあるんやな。
真鍋:メタルタッチで接触する、微妙な部分に髪の毛程度の傷があるだけで、リチウムが漏れる原因になる。リチウムは漏れると厄介だ、床のコンクリートに落ちると、コンクリートを溶かして水素を出して反応するから、そこで火災が起きる。とにかく、液体金属には気をつけろよ、って話。
じぇ:マスターって大学時代から結構ややこしい経験してたんですね。
真鍋:経験していた人を見ていただけだ、私自体は面倒なことは嫌いだ。
じぇ:なんとなくわかります。それで、動物の心が解らない、悲しい大人になってしまったんですね、可哀想なマスター。
真鍋:まあいいよ、その話は。で、さっそくだが、さっさとヤンバルクイナを1匹もらって帰って籠に入れて辺戸岬に向かおう。
じぇ:だめですよ、マスター。ヤンバルクイナは保護動物の中でも最上級に入る国の天然記念物。そんなに簡単に連れて帰れないですよ。
真鍋:なんだ、それなら最初からそう言ってくれ。リチウムの話とかする必要はないだろ、ぶつぶつ。
竜田:わざわざ保護センターがあるくらいだから、最初から無理やんけ。それより、ヤンバルクイナがうずらみたいな感じなのはわかったから、沖縄固有のうずらを探して持っていけばいいんじゃないか。

じぇ:うずらなら、私の故郷、ミンダナオ島でもたくさん飼っていました、うずらの卵を手に入れるのに。
真鍋:じゃあ、沖縄固有のうずらを探そう、たぶんうずらなら天然記念物ではないから、そこあたりのペットショップで買えるんじゃないか。
竜田:ちゃうちゃう、ちゃうやんけ。うずらは愛知県が繁殖の中心。沖縄固有種のうずらというのは簡単に手に入らないやんけ。
じぇ:ミンダナオ島から持ってきましょうか。沖縄からミンダナオ島は結構近いです。
真鍋:なんか、収拾がつかなくなってきたな、さあ。どうしたものか。面倒だし、八熊伝のことは忘れて、沖縄でリゾートライフを楽しんで帰るっているのはどうだ。
竜田:それはだめやんけ。八熊伝がうちの蔵にあることをクロニン軍団に知られてしまったし、このままクロニン軍団がスルーしてくれるとは思えん。とにかく異世界への扉を開くところまではやるやんけ。
じぇ:私も竜田さんに賛成です、諦めないで行きましょう。
真鍋:しかし、純粋な血を持った動物をどうやって手に入れるんだ。沖縄は固有種の宝庫、天然記念物とかに手を出すと面倒なことになるから嫌だ。
じぇ:そういえば、去年石垣島でクロニン田村を見かけたときに、動物の剥製を運んでましたよね、あれが異世界への扉と関係あるんじゃないでしょうか。
竜田:八熊伝には、生きた動物を連れて行かないと駄目だと書いているやんけ。クロニン田村は異世界へ向かうための実験のために集めていたんだろうな。
真鍋:ということは、クロニンはまだ異世界にいく方法を知らないということになるが。
竜田:そこは微妙なところだ、それより、われわれの動物集め、どうするやんけ。このままぼーっとしながら軽自動車を走らせていても展開がないやんけ。
その時、「ガガガン」と車の近くから音がする。
竜田:今なんか、床の方から音がしたやんけ。
じぇ:車停めてください、私が見てきます。
竜田:なんかに衝突したみたいやんけ。
異音の正体を確かめるために車を降りて足早に戻っていくじぇーん。
真鍋:おお、じぇーんが帰ってきた。
じぇ:どうやら、この子と衝突したみたいです。

竜田:なんや、黒豚の子豚やんけ。沖縄名産の黒豚。この近くの農場から迷子になってたのかな。
じぇ:あたりどころが良かったのか、特に大きな怪我はしてないみたいです、良かったですね。こんな可愛い子を轢き殺さなくて。
竜田:まったくそうやんけ。
真鍋:せっかくだから、この子を沖縄における純粋な血をもった生き物として同行させるというのはどうだ。
竜田:それもそうだな、この感じは琉球黒豚の子供。ある意味純粋な血を持った生き物と言えないこともないやんけ。
もとが家畜というのが多少気になるが、まあいいことにしよう。
家畜でも可愛いからいいでしょう、賛成です~。
真鍋:ということで、辺戸岬に向かおう。雨がもっとひどくなる前に。

適当な家畜の黒豚を手に入れて、辺戸岬に向かう三人。雨脚が強くなる中、八熊伝の伝説の通り、異世界への扉は本当に開くのか。次回をお楽しみに。