クリムゾン真鍋

第6回:手がかりは突然に。

板垣:クリムゾン真鍋、確かあなたはダイバダッタにアドバイスを受けにインドに行ったはずだがその様子はどうだ。

真鍋:色々ありまして、大間のマグロは美味かったということ、それと六ヶ所村の核燃料再処理工場の前も通りました。一度来てみたかったところなので良い収穫でした。

参考画像:フランスの再処理工場

板垣:そういえば、クリムゾン真鍋は、専門は原子力だったな、原子力の専門家がどうして、ゲームを、それもクソゲーを作ることになったのだ。納得いく説明を聞きたいものだ。

真鍋:それは、長くなるのでまた、次の機会に。時期が来たら話します。

板垣:わかった、で、ダイバダッタの件は?まさか失敗してノコノコ帰ってきたという話ではないことを願うが。

真鍋:きっちりとキーワードを教えてもらってきました。ダイバダッタは取り込み中だったので、代わりに有名な専務に話を聞いてきました。

専務から聞いた内容を説明するクリムゾン真鍋、だが、要領を得ない発言にイライラして指先が小刻みに震え始めるニンジャ板垣。

板垣:で、スロープ、ガン。それだけじゃ全く雲をつかむような話だ。要するになんの成果も出なかったということで良いか。

真鍋:(さすが、仕事のクオリティについては、鬼のように厳しいニンジャ板垣。ここがクソゲー作家とハイクオリティ作家の分岐点ということか)

板垣:じぇーんちゃんは、なにか言うことはないのか?

じぇ:マグロ丼が美味かったです、いまはそれだけです。

板垣:さすがにクリムゾン真鍋のメイドさん。話をはぐらかす話術をよく知っている。大したものだ。

じぇ:あと、味千ラーメンも美味しかったですね、マスター。

真鍋:だまれ、これ以上、混乱させるようなことを言うんじゃない。

じぇ:了解!

真鍋:しかし、ここにきて完全に行き詰まりましたね。次はヨハネスブルクにでも行ってみますか?エビ型プログラマーとかいるかもしれないですよね。

板垣:エビには無理だろ、我々の新作ゲームに、エビは不適格だ。

これは、ニンジャ板垣とクリムゾン真鍋が面白いと意見が一致した、第9地区という映画にちなんだ話である。アパルトヘイト時代の南アフリカにエイリアンが漂着、その姿がエビに似ていた話である。「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:う~む。困った困った。

ピロピロピロ

じぇ:誰かからメールが届いたみたいです、マスター。

真鍋:疲れたから読み上げてくれる。気分的にはなにも考えたくない気分なので。

じぇ:わかりました、読み上げます。「どうやら、おふた方、プログラマーが見つからなくて困ってるみたいですね。せっかくだから、俺がやってもいいぞ。ギャラはいただくけどな。」

内容を聞いて、めんどくさそうに話をするニンジャ板垣とクリムゾン真鍋。

板垣:こういうの、よくいるよな。妙に自信をもっていて、押し付けがましくアピールしてくるやつ。こういうやつが使いものになったことが今まで一度もない。

真鍋:同感です、このタイプは開発が厳しくなると、小樽に逃げるタイプですよね。いままで何回も小樽に迎えに行ったものです。

じぇ:続きのメールが来ました。「もし俺に興味があるなら、明日の正午、鉄砲坂で待つ。加納桐太郎より」

真鍋:どうやら、加納桐太郎というのが、こいつの名前みたいですね。自分で名前を名乗るのは良いことだとは思うが…特に、明日会いに行くほどではないですね。

板垣:いや、待て、クリムゾン真鍋。この待ち合わせ場所の鉄砲坂と言うの、なんか気になる。鉄砲坂、テッポウザカ…。

真鍋:はて、なんのことですかいのぉ。ワシにはさっぱりわからんがのぉ。

テッポウ、要するにガンだ。で…、坂。これはスロープ。要するに鉄砲坂というのは、ガンスロープ。これだよ、これ、クリムゾン真鍋。

そうか、専務から聞いたことはこの意味かもしれませんね、これは期待が持てるかも。

板垣:しかし、専務はどうして鉄砲坂を知っていたんだろう。まあ明日、鉄砲坂とやらに行ってみることにしよう。

真鍋:せっかくだから行きましょう。

次回は加納桐太郎の秘密が明かされる、敵か味方か…お楽しみに。

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第5回:斜面と銃ってなんだろう。

じぇ:やっと香港に着きましたね、マスター。香港便は空席が多くて、一人で3席つかってゆっくりできたからマスターの疲れも取れたでしょう。

真鍋:そうそう、乗った瞬間、変死体のように眠りこけていたから、いつの間に香港についたか全く記憶がない。間違ってヨハネスブルクに運ばれていても気が付かないくらいだ。

じぇ:あっ、ハンスが来ています、ということは今日は地下鉄じゃなくて車移動ですね、ラッキー。先に着いて待ってたのかな、ハンスは時間に正確ですね。

ハンスとは、クリムゾン真鍋がかわいがっている運転手である。香港のディープな事情にも詳しく、運転もうまいから香港に移動には頻繁に運転手として使っている。

ハン:お帰りなさい、マスター。2年くらい帰って来ないと思っていたけど早かったある。さては、早速ゲーム制作が行き詰まって逃げて帰ってきたあるか。

じぇ:違うわよ、ハンス。ゲーム制作は順調です。今回はハンスが前に話してくれた、鑽石山にいるという伝説の占い師、チェルシーに会いに来たのよ。

ハン:チェルシー、ああ、あの人ね。世界中で占い師の修行をして、いまは黄大仙にいるあるよ。ただお店を持っているわけではなく、あちこちのカフェを転々としながら占いをやっているから見つけるのは結構難しいある。

じぇ:マスター、どうやらハンスがチップを弾んでくれって要求しているようです。今回は急ぎの案件だし50%増量でいいですか?

真鍋:いいよ、チェルシーはレアアイテムだから、それなりに課金が必要なのは理解している。ハンス、よろしく頼むよ。

ハン:ガッテンです、親分。こう見えても俺は江戸っ子なんで、親分に恥はかかせません。

真鍋:なんで、そこだけ江戸っ子なんだ。まあいい、久しぶりに香港に戻ってきたんだから、自宅のラグナベルデに立ち寄るくらいいいだろ。ワンポアの街の活気も久しぶりに見てみたいし。なんなら、このままプールでビール飲んで過ごす日常に戻りたいくらいだ。

じぇ:ニンジャマスターが我々の帰りを首を長くして待ってるから…。チェルシーに会って情報ゲットして、すぐに帰りましょう。

真鍋:じゃあ、黄大仙に行く前に、深水埗の黄金商場で、アーケードコントローラーの中古を探したいんだが…

じぇ:ダメです、今日の19時の飛行機で日本に戻るんですから、アケコン探しはあとにしてください。

真鍋:わかった、では、黄大仙ついたら起こしてくれ、くれぐれも安全運転で頼むよ、ハンス。

そうして、1時間後、一行は黄大仙に到着した。

黄大仙」とは、黄大仙は有名な祠である。香港MTRの駅を中心に繁華街が広がっている。住民は香港人が中心で外国人の数は比較的少ないように見える。「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:黄大仙に来たんだから、味千ラーメン食っていこうか、熊本ラーメンなのに海外の方が有名という味千ラーメン、香港で食うとめちゃくちゃうまい。

じぇ:ランチは後にしてください、マスター。それよりはやく占い師に会わないと。

真鍋:いや、ここの味千ラーメンだけは絶対に譲れん。ラーメンが出てきてから1分で食うから、ここは見逃してくれ。

香港で熊本ラーメンを嬉しそうに食い始めるクリムゾン真鍋。

ハン:あれ、マスター。あそこの端っこの席でラーメン食べているのが、あれがチェルシーあるよ。なんとまあ、運の強いマスター。まさか今日は味千ラーメンにいるなんて。カフェ探していたら3時間はかかったはずだから、マスターはラッキーある。

真鍋:結果が良ければ全てよし、世の中結果が全てだ。

ハン:ハローチェルシー、ごきげんよう。お元気あるか。

チェ:ハンスじゃない、久しぶり。今でも日本人観光客のインチキガイドやってるの?

ハン:今日は、敬愛する我がマスターを連れてきたあるよ。ダイバダッタと話がしたいある。

真鍋:チェルシーさん。我々はどうしてもダイバダッタと話をして、ゲームプログラマーの手がかりを掴まねばならないんだ。これは香港の未来がかかっている大事な話なんだ。よろしく頼む。

チェ:ダイバダッタを呼ぶのは無理です、ダイバダッタはあなた方が話しできるレベルの人ではありません。私が呼んでも来ないと思う。それよりゲーム関係者なら、日本で一番有名だった専務さん、その人なら私呼べます。ただし、話ができるのは1分だけです、延長は無理なのでよろしく。

真鍋:おお、それは好都合だ。セ○の湯○専務には生前大変お世話になった。ぜひお礼が言いたい。さっそく呼んでくれ。

味千ラーメンをちょうど食べ終わったチェルシーは、カバンから水晶玉を取り出して、念を込める。あたりの空間が少し歪んだ気配する、そして…

チェ:私が専務だ、君は誰だ?

真鍋:デスクリムゾン2のダメージボイスで協力いただいたクリムゾン真鍋です。その節はお世話になりました。

チェ:そうか、そんなこともあったのぉ、全てが皆、懐かしい。

真鍋:専務が個人的に大変な日に、収録をお願いして誠に恐縮です。で、ついでと言ってはなんですが、私がプログラマーを探していて、ちょっと宛がなくて困っているのですが、専務はなにか情報をお持ちですか。顔が広い専務にぜひ、アドバイスを頂ければと思います。

チェ:ぐおぐおぐお、キュイーン。

真鍋:専務、今はダメージボイスではなく、プログラマーの手がかりなんですが…。

じぇ:マスター、どうやら専務は今は英語しか話しできないようです。ダメージボイスの端々に、英語の単語が含まれています、マスターにはわからないでしょうが私には聞こえます。

チェ:時間となりましたので、霊の方はお帰りになりました。なにか良い話は聞けましたか?

真鍋:どうやら、1分が過ぎて時間切れらしい。始める前に延長はできませんと念押しされているので、これ以上は無理だな。

じぇ:マスター、いくつか単語が聞こえました。スロープ、それからガンという言葉でした。

真鍋:スロープとガン、よくわからないな。階段に関係するガンゲームなら思い当たるけど…、「なんだぁ、この階段はぁ」ってセリフね。しかし、スロープは坂であって階段ではないし、なんのことだろう…。

じぇ:どうやら味千ラーメンが閉店時間のようです、早く出ないと悪霊が取り付くかもしれません。スナブリンとか取り憑くと嫌ですね。

真鍋:キョンシーならいいがスナブリンが取り憑くのはだめだろう、さっさと空港に戻って小籠包でも食って帰るとするか…。

じぇ:スロープ、ガン、なんのことなんでしょうね。もう少し考えてみます。

専務が残していった謎のキーワード、新たなる展開へと向かうのか…。

続きは次回をお楽しみに。

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第4回:バンガロールへの道!

成田空港でバンガロールに出発するために前泊するクリムゾン真鍋とじぇーん。

真鍋:成田空港の景色はここ10年で20回以上見たな。シンガポール在住と香港在住で数年間、ファイティングクライマックスのミーティングが2週間おきにあったからその度に成田から日本に帰国してたもんだ。なんだか、自分の家に帰ってきたような懐かしい風景に見える。ということで、今日は寝るとするか。

ファイティングクライマックス」とは、クリムゾン真鍋がセガ、およびフランスパンと協力して制作した2次元対戦格闘ゲームである。クリムゾン真鍋にとっては、「メルティブラッド」・「アンダーナイトインヴァース」に続く格闘3部作の完結作品である。電撃文庫の人気キャラが多数登場し、セガの誇る有名な制作者である寺田貴治氏、野中竜太郎氏とクリムゾン真鍋が初めて一緒に制作したというエコールにとっては画期的な作品である。「出典:近代芸無辞典より」

新しい朝が来た…

じぇ:起きてください、マスター。大変なことが!

真鍋:どうした、エア・インディアが倒産したか?それとも、インド全土が水没でもしたか?

じぇ:そうではないんですが、先程インド大使館の方面から連絡があって、なんでも、クソゲーを作ったゲームプロデューサーは入国を遠慮してほしいってことです。なにか思い当たることありますか、マスター?

真鍋:まあ、思い当たることがないこともなくはないが…、昔デスクリムゾンってゲーム作ってインドで販売したときに、インドではなかなかあの独特の感性が伝わらなくて、結構クレームが来てた気がする。でももうだいぶ前の話だし、今頃、昔クソゲー作った件で、入国拒否とは困ったものだ。で、どうしようか、じぇーん。

じぇ:困りましたね、マスターは死者の魂と会話ができる人に会うために、バンガロールに行って、そこでダイバダッタに教えを請うという計画でしたね。

真鍋:そうなんだ、完全に計画が狂って困ってしまう。困った困った。

じぇ:ここは、どこかプログラマー派遣会社に頼んで、プログラマーを一人雇うことにしませんか、マスター?

真鍋:まあ、それでもいいんだが、派遣でプログラマー頼むと結構お金かかるから、じぇーんのギャラを半分にするということでいいかな?

じぇ:ダメです。

真鍋:そうか、じゃあ別の方法を探そう。

じぇ:そういえば、以前、日本でも恐山というところには死者と会話ができるという人がいると聞いたことあります。イタコというらしいですが、イタコに頼んでダイバダッタを呼び寄せましょう。

真鍋:それはいい考えだ、では早速、行き先をバンガロールから青森空港に変更してくれ。

じぇ:残念ですが、マスターの好きな全日空は東京から青森便は設定がありません。電車で行くしか方法はないですね。

真鍋:飛行機でも新幹線でもなんでもいいよ、とにかく恐山にGOだ。

ということで、当初の計画から大きく変更、青森県の下北半島、恐山に向かうことになった、クリムゾン真鍋とじぇーんでありました。

じぇ:やっと八戸駅に着きましたね、マスター。成田空港を出発して12時間。ここからレンタカーを借りて恐山に向かいますか。でも途中に通過する大間はマグロで有名なところなので、マグロ丼をぜひ食べていきましょう。

真鍋:マグロ丼は帰りに食うとして、まずはイタコ探し。

むつ市に到着したクリムゾン真鍋とじぇーん。恐山の地図をもらうため、観光案内所に立ち寄りました。

真鍋:恐山に行きたいのですが、恐山でイタコの方に話を聞きたいのです。

案内所の人:それは残念でしたね、イタコは毎日いるわけではなく、例大祭の時にしかいません。次の例大祭開始は7月20日ですね。

真鍋:ぎょえ、じゃあまだ1ヶ月以上あるぞ、さすがに1ヶ月間むつ市に滞在するのは無理だし…、困った困った。

じぇ:そういえば、香港にいたとき、鑽石山の近くにイタコみたいに死者と会話できる占い師がいるというのを聞いたことがあります。

真鍋:なんだ、鑽石山って我々が住んでいたワンポアの駅から地下鉄1本で行けるじゃないか。香港にいるうちに行っとけばよかった。

鑽石山(さんせきざん)」とは、香港で人気の娯楽であるハイキングの出発地点の駅である。比較的娯楽が少ない日本人香港駐在員にとって、山登りのようなハイキングは数少ない娯楽の一つであるが、鑽石山から北に向かってのハイキングルートは人気がある。「出典:近代芸無辞典より」

じぇ:いずれにせよ、成田空港に戻らないといけませんね、千歳空港までタクシーで行って、そこからクアラルンプール経由で香港に行く手もありますが…。

真鍋:まあ、ここは成田空港に戻ろう、ということで成田に向けてしゅっぱーつ!

迷走するクリムゾン真鍋とじぇーん。なかなか、ダイバダッタと話をするのは難しいようで…

次回に続く。

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第3回:プログラマーをどうする!

真鍋:ゲーム作ろうとするのはいいけど、プログラマーをどうしますか?

板垣:クリムゾン真鍋がやればいいんじゃないの。

真鍋:Unityのプログラムはそんなに難しくないと言われているから、まあできないことはないと思いますが…。で、ストーリーは誰が考えるんでしたっけ?

板垣:そりゃ、クリムゾン真鍋だろ、俺はストーリーを作る気はない、本業はゲームシステムのデザインだ。

真鍋:わかりました。これまでもストーリーはやってきたからなんとかなるでしょう。で、グラフィックはどうしますか、これはニンジャ板垣の担当ということでいいですか?

板垣:俺様にとってグラフィックはもっとも得意とするところだ、心配には及ばん。凄い助っ人を呼び寄せるつもりだから問題ない。

真鍋:なにか、具体的に手立ては考えてるんですか。問題先送りはいつか地獄をみますよ。

板垣:いいんだよ、その分ゲームシステムは凄いの考えるから、それ以外のパートはクリムゾン真鍋、よろしく!

真鍋:(むむむ、相変わらず強引な展開、予想していたとは言え、酔っぱらいと仕事をするとこうなるという典型的なケースだ。)

真鍋:まあ、仕方ありません、グラフィックは当面じぇーんに考えさせるとして、ストーリーは私がやるとして、プログラマーを探してくればこの件は一件落着ということで。

板垣:プログラマーを探すことについては、ひとつアイディアがあるんだが…。

真鍋:なんですか?知り合いの香港人に頼むとかですか?そりゃダメです。知り合いのロシア人もダメですよ、これは先に言っておきますが、THQの残党の人もダメです。

板垣:残念だが、今回はそうではない。実はインドの知り合いに、ダイバダッタと会話ができる人がいて、以前その知り合いを通じて人探しをしてもらったことがある。こういう話は、ダイバダッタに聞くのが一番だと思う。

真鍋:ダイバダッタって、虹色仮面みたいなのが、インドの山奥で修行しているときにその教えを理解したという、あのダイバダッタですよね。仕方がない、じゃあさっそくインドに行ってダイバダッタに聞いてみましょう。じぇーん、バンガロール行きのチケット取っといてね。

ダイバダッタとは、釈迦の弟子の一人である。実写ヒーロー番組、レインボーマンの主題歌に、「インドの山奥で修行して、ダイバダッタの魂宿し」という一節がある。「出典:近代芸無辞典より」

じぇ:わかりました、エア・インディアでとっておきます。よく墜落するそうですが、安いから仕方ないですね。

真鍋:そうと決まったら、さっそくインドにしゅっぱ~つ。

頑張れ、プレジデント真鍋、じゃなかった、クリムゾン真鍋、応援してるから。

あれ、ニンジャ板垣も一緒にいくんじゃないの?いつの間に私が一人で行く話になったんだろ。

板垣:一緒に行きたいのは山々だが、私は飛行機が嫌いだ。以前乗ったときにもひどい目にあったから、飛行機には乗らない主義だ。

いつの間にか、一人でインドの山にこもってダイバダッタに会うための修行をすることになったクリムゾン真鍋。果たして無事にバンガロールにたどり着けるのでしょうか。

次回に続く…

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第2回:作るのはドリームヂェネレーション2?

板垣:戦艦ニンジャクリムゾンが編成されたところで、なにを作るか検討しよう。

真鍋:やはり、ニンジャが三次元空間を縦横無尽に飛び回るアクションゲームでしょう。

正式名は「NINJA GAIDEN」、ニンジャ板垣がテクモ時代に作った忍者アクションゲーム、通称「ニンジャガ」。「デッド・オア・アライブ」と共にニンジャ板垣の代表作であり、ワールドワイドでミリオンセラーを達成した作品。
「出典:近代芸無辞典より」

板垣:それはもう散々やったから、しばらく作りたくない。それより太平洋艦隊とインド洋艦隊が宇宙空間で戦う、みたいなのを作りたい、とにかくキーワードはネイビーだ。

真鍋:じゃあ、日本の戦艦ものにしましょう。海軍の誇る長門とか赤城とか、それにニンジャ板垣の得意な巨乳女性キャラを割り当てて、萌えの要素も入れる。

板垣:それは艦コレですでにやってるからだめだ。だいたい艦コレは俺の宿敵が関わってるタイトルだから、全くそのジャンルには興味がない。

真鍋:それはそうですよね、じゃあ、競馬ゲームやりましょう。本当の馬が走るのではなく、馬に見立てた女の子が走るってのはどうですか?

板垣:それはウマ娘でやってるからだめだ。クリムゾン真鍋は最近のゲーム事情からだいぶ遅れてるようだが、大丈夫か。

真鍋:そりゃ、この五年くらい香港で旨い中華料理食って、プールでビールのんで昼間からのんびりしてたわけだから、世相から遅れるのも仕方ないと思うけど。

板垣:それじゃあ、相談するだけ無駄ってことで…。昔、クリムゾン真鍋が作った伝説のクソゲー、デスクリムゾンのリメイクをやると言うのはどうだ。グレたクソゲーを、男、板垣が更生させるというテーマだな。

正式名は「デスクリムゾン」、別名クソゲーの帝王、最下位帝王、デス様。クリムゾン真鍋が1996年に発売した、実質的な代表作。主役コンバット越前が語る「せっかくだから」「なんだぁ、この階段は」などの人気セリフを生み出した。
「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:デスクリムゾンには関わりたくない。あれは20世紀最後の黒歴史だし、ここ最近はファミ通で殿堂入りするようなタイトルに関わってきたのに、また昔の黒歴史を引っ張り出すような行動はしたくない。ということでデスクリムゾンのリメイクはお断りします。

板垣:そんなにワガママばかり言ってたら作るものが無くなってしまうじゃないか。

真鍋:じゃあ、パズルゲーム作りましょう。宇宙初のパズルゲームみたいなの。私が以前作ったムサピィのチョコマーカー。あれは面白いと評判でしたが、初心者に厳しいルール設定で慣れる前に飽きられてしまう。それをニンジャ板垣の超能力で、面白さを維持したまま取っ付き難さを解決した素晴らしい作品に改造するって言うのはどうですか。

板垣:聞いてるだけで面倒な話だな、俺は面倒な話は嫌いだ。同じくチマチマしたものも性に合わん。もっとガーンと世界を震撼させる、戦艦が滝のように空から降ってきて、それを海の王者ポセイドンみたいな潜水艦がグオーグオーと撃退する。そんな男臭いゲームを作りたいものだ。

真鍋:コストを考えると無理じゃないですか。そんなの作ったら開発に10年、開発費も30億円はかかるはず、ぜ~ったい無理ですね。

板垣:だから酔っぱらいゲームなんだよ。酔っ払った戦艦と酔っ払った潜水艦、これが真っ向から勝負。ミサイル撃ち合うんじゃなく、どちらが酒に強いかを競う酔っぱらいゲーム。これなら戦艦の動きも適当でいいだろ、操縦者は酔っぱらいなんだから。

真鍋:飲酒シーンはリスクが高いうえに、特に酔っぱらいが戦艦を操船する時点でコンプライアンス違反です。飲酒運転はダメですよ。

板垣:そんだけダメダメ言ってたら作るものが無いぞ、一体どうするんだ。

真鍋:じゃあ昔、私が作った職業選択恋愛シミュレーションゲーム、これのリメイクやりましょう。目指す職業はゲームプロデューサーと、世界一の酔っぱらい、これを追加しましょう。あとは炎上系ユーチューバーも入れないと。とにかく、酔っ払いは車や船の運転をしなければ問題ないわけで。しかも、テキストベースの作品なので開発費もそんなにかからないでしょう。ついでに目指す職業として前回は没になったテロリスト、これも復活させましょう。酔っ払い型テロリストなんて設定はどうですか。

正式名は「ドリームジェネレーション」、エコールの100%子会社であるレインディアが開発し、メサイアから発売となった、実質的にエコール第3作目の作品。シナリオはクリムゾン真鍋とともに、シェンムーでシナリオを担当した山本優が作成した。音楽はソニック関係の作曲で有名な尾形雅史が全面的に制作を行った。
「出典:近代芸無辞典より」

板垣:じゃあ、登場人物を全員酔っ払いにするんなら、それでいいよ。町の中の人たちが全員酔っ払い。話しかけても、ピキピキ…としか言わない。これなら作るのも簡単だしな。

それいいですね、じゃあ戦艦ニンジャクリムゾンの初タイトルは、「ドリームヂェネレーション2 /酔っ払いの王国♡飲みすぎてなにが悪い!」こんな感じにしましょう。

それがいい。タイトルが決まったから祝杯をあげよう。さっそく酔っ払いに乾杯だ。

じぇ:かんぱーい!

こんな風に、酔っ払いの企画会議は進んでいきました。でも、酔っ払いたちは翌日になったらドリームヂェネレーション2を作る話もすっかり忘れてしまいました。

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第1回:すべての始まり

それは、ある夏の日である…

真鍋:ビールがうまい!プールサイドで飲むビールは格別だ。

ここは、香港のカオルーンエリア、ワンポアにある、日本からの駐在員がたくさん住んでいるというラグナベルデ。50階建ての高層タワーが40本以上建てられているコンドミニアム。真鍋は3年前からここラグナベルデを根城にしている。

真鍋:ワンポアは便利でいいな、またランチには詠藜園の四川担々麺を食べに行くか。それとも最近できた地下鉄で九龍城にいってタイ料理でも食うかな。

ファイティングクライマックスを作ったあと、ここ数年はゲーム制作もせず、毎日ぐだぐだの生活をしている真鍋である。一日の大半は、香港グルメを堪能し、昼間からプールでビールを飲む、堕落した生活を送っている。

ビロロ~ン、メッセージの着信音がする。

女性:マスター、スマホをお届けに来ました。先程からメッセージの着信してます。

真鍋:ありがとう、じぇーん。君はよく気がつくね、最高のメイドさんだ。

じぇ:それほどでもないです。では、私は部屋に戻ります。

じぇーんは、去年から、我が家でメイドをやっているが、どこで生まれ育ったかは謎に包まれている。数年間日本に留学していたとのことで、日本語も問題なく話せる。

真鍋:じぇーんは気が利いていいね、英語も上手いから世間話しているだけで英語の練習にもなるし…、で、誰からかな?メッセージは。

謎の人:せっかくだからゲーム作らないか?プールで寝てるばかりじゃ退屈するだろう。

真鍋:どうして私が、プールで寝てることをこの人は知っているんだ、怪しいやつ。とにかく、なんだかややこしそうな話だから、さっさとビールの続きを飲んで寝てしまおう。ということで、ブロック!!

ピロピロピロ

真鍋:今度は電話が…。よく見れば、発信相手は板垣さんじゃありませんか。

板垣:酔っ払いゲームを作りたい、酔っ払いが出てきてバンバン酔っ払いを倒すゲームだ。いいの思いついたので、ぜひ一緒に作りたい。

あわてて電話を保留にする真鍋。ふと見ると、部屋に帰ったはずのじぇーんがそばに立っている。

じぇ:マスター、その人って危ない人ですか?たしか有名な人でしたよね。エロっぽいバレーのゲームとか作ってるという…。

正式名は「DEAD OR ALIVE XTREME BEACH VOLLEYBALL」、別名エロバレー。2003年に発売されたビーチバレーを題材としたスポーツゲーム。露出の高い女性キャラと水着が人気となった、板垣伴信を語る上で外せない代表作のひとつ。「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:まあ、そんな感じだ、本人は全くエロっぽくないんだが、作るものがエロっぽい、そんな人ね。

じぇ:で、どうするんですか、マスター?日本に帰ってゲーム作るんですか。

真鍋:しばらく考えてみよう、いずれにせよ、日本に帰るとしたらじぇーんも一緒に来るように。確か君は日本の永住権持ってたから問題ないよな。

じぇ:わかりました、お供します。

真鍋:そうと決まれば、保留解除。もしもし、ゲーム作りの件、考えときます、板垣さん。

板垣:では、早速打ち合わせだ。増上寺のカフェで待ってるぜ。では…

突然かかってきた電話は、突然切れた。

真鍋:相変わらず、強引な人だ。知り合ってからだいぶ立つが、何も変わってない…、まあ、よくわからない話だけど、せっかくだからいってみるか、増上寺。

ということで、真鍋は香港から東京、増上寺に飛ぶ。

真鍋:で、話というのは何でしょうか?

板垣:せっかくだから、一緒にゲーム作ろう。酔っ払いが酔っ払いを倒すゲーム。なかなか面白そうだし。

真鍋:(冗談かと思っていたが本気で酔っ払いゲーム考えてたんだ、大丈夫かな、この人…)

板垣:敵がゾンビとか、秘密組織の戦闘員とかもう古い。21世紀にふさわしい敵は、「酔っ払い」これだ。

板垣:一緒に凄いの作ろうと思う!凄すぎてなにが悪いって感じのゲームだ。

「凄すぎて何が悪い」とはNINJA GAIDENで板垣が使ったキャッチコピーである。当時の板垣の制作における考え方を如実に表すコピーとして広く知られている。「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:(組む相手間違えてるんじゃないか、うちは別の意味で凄すぎるエコールだぞ、って思うけど)

真鍋:わかりました。では酔っ払いゲームを作りましょう。それも凄いの作りましょう。で、敵は決まったけど、ゲームシステムはどうしますか?

おまたせしました、ご注文の品をお届けに来ました。

板垣:はい、ありがとう。

真鍋:なんですか、このたくさんのグラスは…

板垣:これはハイボールだ。最近人気のウイスキーのハイボール、濃い目だ、軟弱な酔っ払いは必要ないし。

真鍋:しかし、すこし多すぎるのでは?

板垣:これでもまだ、大したことはない。これくらいで音を上げる酔っぱらいは真の酔っぱらいとは言えない。軟弱なやつは道をあけろ。

真鍋:要するに酔っ払いゲームというのは、酔っ払いの敵を倒すのではなく、酔っ払いが作るゲームってことなんですね。

板垣:そういうことだ、これからは酔っ払いの時代だ。酔っ払いの、酔っ払いによる、酔っ払いのためのゲーム、それが今時代に求められているのだ。わかるかな?もう、ゾンビとか撃っても当たりまえ過ぎて、誰も感動しない。しかし、酔っ払いが作った、酔っ払いが、酔っ払いを撃つゲーム、登場人物は制作者も含めてすべて酔っ払い!これこそ、今、時代に求められているゲームだ。スマホゲームでちまちまパズルゲームをやるなんて、もう古い。

真鍋:わかりました、全然わかってませんけど、とにかくわかりました。板垣さんは酔っ払いゲームを作りたい、ということはわかりました。

板垣:その通りだ。それが理解できればそれだけで十分だ。

真鍋:それはそうと、我々の名前を決めなければいけませんね。もう板垣さんはテクモの社員でもヴァルハラの社員でもないわけですから。ということで、板垣さんは今後、ニンジャ板垣にしましょう。私は、巷ではプレジデント真鍋と呼ばれているようですが、自分でそう名乗ったことはありません。今後はクリムゾン真鍋で行きます。

了解、ニンジャ板垣とクリムゾン真鍋、酔っ払い二人でゲームを作ろう、それも凄いの。

酔っ払いの、酔っ払いによる、酔っ払いのためのゲームにさっそく乾杯!

こうして、増上寺のファミレスで、たくさんのハイボールグラスに囲まれながら、ニンジャクリムゾンチームが結成されたのでありました。

凄いゲームを作ると誓いを立てた、ニンジャ板垣とクリムゾン真鍋。東京タワーも暖かく見守っています。

次回に続く。

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