第2回:作るのはドリームヂェネレーション2?

板垣:戦艦ニンジャクリムゾンが編成されたところで、なにを作るか検討しよう。

真鍋:やはり、ニンジャが三次元空間を縦横無尽に飛び回るアクションゲームでしょう。

正式名は「NINJA GAIDEN」、ニンジャ板垣がテクモ時代に作った忍者アクションゲーム、通称「ニンジャガ」。「デッド・オア・アライブ」と共にニンジャ板垣の代表作であり、ワールドワイドでミリオンセラーを達成した作品。
「出典:近代芸無辞典より」

板垣:それはもう散々やったから、しばらく作りたくない。それより太平洋艦隊とインド洋艦隊が宇宙空間で戦う、みたいなのを作りたい、とにかくキーワードはネイビーだ。

真鍋:じゃあ、日本の戦艦ものにしましょう。海軍の誇る長門とか赤城とか、それにニンジャ板垣の得意な巨乳女性キャラを割り当てて、萌えの要素も入れる。

板垣:それは艦コレですでにやってるからだめだ。だいたい艦コレは俺の宿敵が関わってるタイトルだから、全くそのジャンルには興味がない。

真鍋:それはそうですよね、じゃあ、競馬ゲームやりましょう。本当の馬が走るのではなく、馬に見立てた女の子が走るってのはどうですか?

板垣:それはウマ娘でやってるからだめだ。クリムゾン真鍋は最近のゲーム事情からだいぶ遅れてるようだが、大丈夫か。

真鍋:そりゃ、この五年くらい香港で旨い中華料理食って、プールでビールのんで昼間からのんびりしてたわけだから、世相から遅れるのも仕方ないと思うけど。

板垣:それじゃあ、相談するだけ無駄ってことで…。昔、クリムゾン真鍋が作った伝説のクソゲー、デスクリムゾンのリメイクをやると言うのはどうだ。グレたクソゲーを、男、板垣が更生させるというテーマだな。

正式名は「デスクリムゾン」、別名クソゲーの帝王、最下位帝王、デス様。クリムゾン真鍋が1996年に発売した、実質的な代表作。主役コンバット越前が語る「せっかくだから」「なんだぁ、この階段は」などの人気セリフを生み出した。
「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:デスクリムゾンには関わりたくない。あれは20世紀最後の黒歴史だし、ここ最近はファミ通で殿堂入りするようなタイトルに関わってきたのに、また昔の黒歴史を引っ張り出すような行動はしたくない。ということでデスクリムゾンのリメイクはお断りします。

板垣:そんなにワガママばかり言ってたら作るものが無くなってしまうじゃないか。

真鍋:じゃあ、パズルゲーム作りましょう。宇宙初のパズルゲームみたいなの。私が以前作ったムサピィのチョコマーカー。あれは面白いと評判でしたが、初心者に厳しいルール設定で慣れる前に飽きられてしまう。それをニンジャ板垣の超能力で、面白さを維持したまま取っ付き難さを解決した素晴らしい作品に改造するって言うのはどうですか。

板垣:聞いてるだけで面倒な話だな、俺は面倒な話は嫌いだ。同じくチマチマしたものも性に合わん。もっとガーンと世界を震撼させる、戦艦が滝のように空から降ってきて、それを海の王者ポセイドンみたいな潜水艦がグオーグオーと撃退する。そんな男臭いゲームを作りたいものだ。

真鍋:コストを考えると無理じゃないですか。そんなの作ったら開発に10年、開発費も30億円はかかるはず、ぜ~ったい無理ですね。

板垣:だから酔っぱらいゲームなんだよ。酔っ払った戦艦と酔っ払った潜水艦、これが真っ向から勝負。ミサイル撃ち合うんじゃなく、どちらが酒に強いかを競う酔っぱらいゲーム。これなら戦艦の動きも適当でいいだろ、操縦者は酔っぱらいなんだから。

真鍋:飲酒シーンはリスクが高いうえに、特に酔っぱらいが戦艦を操船する時点でコンプライアンス違反です。飲酒運転はダメですよ。

板垣:そんだけダメダメ言ってたら作るものが無いぞ、一体どうするんだ。

真鍋:じゃあ昔、私が作った職業選択恋愛シミュレーションゲーム、これのリメイクやりましょう。目指す職業はゲームプロデューサーと、世界一の酔っぱらい、これを追加しましょう。あとは炎上系ユーチューバーも入れないと。とにかく、酔っ払いは車や船の運転をしなければ問題ないわけで。しかも、テキストベースの作品なので開発費もそんなにかからないでしょう。ついでに目指す職業として前回は没になったテロリスト、これも復活させましょう。酔っ払い型テロリストなんて設定はどうですか。

正式名は「ドリームジェネレーション」、エコールの100%子会社であるレインディアが開発し、メサイアから発売となった、実質的にエコール第3作目の作品。シナリオはクリムゾン真鍋とともに、シェンムーでシナリオを担当した山本優が作成した。音楽はソニック関係の作曲で有名な尾形雅史が全面的に制作を行った。
「出典:近代芸無辞典より」

板垣:じゃあ、登場人物を全員酔っ払いにするんなら、それでいいよ。町の中の人たちが全員酔っ払い。話しかけても、ピキピキ…としか言わない。これなら作るのも簡単だしな。

それいいですね、じゃあ戦艦ニンジャクリムゾンの初タイトルは、「ドリームヂェネレーション2 /酔っ払いの王国♡飲みすぎてなにが悪い!」こんな感じにしましょう。

それがいい。タイトルが決まったから祝杯をあげよう。さっそく酔っ払いに乾杯だ。

じぇ:かんぱーい!

こんな風に、酔っ払いの企画会議は進んでいきました。でも、酔っ払いたちは翌日になったらドリームヂェネレーション2を作る話もすっかり忘れてしまいました。