第29回:セガプッシャーはおもろしろい。

4年ぶりの大船生活を始めたクリムゾン真鍋。懐かしい気分で大船の飲食店巡りをするのであった。

真鍋:大船はたくさん飲食店があっていいな、カレーの店もたくさんあるし、ラーメンに関しては個性的な店がたくさんある。

じぇ:こんなに色んなタイプの飲食店が密集している街は珍しいんですよね。

真鍋:私も、日本中のいろんな街に住んできた。飲食店が密集しているという点では、下北沢、町田、溝の口、これらの街はかなり狭いエリアに店が密集している。

じぇ:どの街がお気に入りなんですか、マスターは。

真鍋:一人で遊びにいくなら、下北沢。年齢層が若い街なので、文化的刺激をたくさん受けることができる。行く末の方針に行き詰まったら、下北沢にいって髪の毛を切って、昔ながらの銭湯に入る。それが終わる頃には悩んでいた命題もほぼスッキリと結論が出ている場合が多い。

じぇ:それはいい街ですね。他の街はどんな感じなのですか。

真鍋:町田は、カオスで混沌としている感じだ。小田急沿線で土地柄はいい場所なんだが横浜線と小田急が交差しているせいか、街自体がいろんな文化を分け隔てなく受け入れている感じ。

じぇ:文化的許容度が町田も高いんですね。

真鍋:下北沢が20代の街だとすると、町田は30歳過ぎてからいくと楽しいね。路地裏にとにかく美味しい店が多い。知っている人に連れて行ってもらったほうがいいけど、駅から少し外れの雑居ビルの上の方に素晴らしい店がさり気なくあったりする、それが町田だね。

じぇ:では、溝の口は…。

真鍋:溝の口については、いずれまた次の機会に説明するよ。それより大船だ。ここ大船は、駅前の狭いエリアにたくさんの美容院が密集していることでも有名なんだ。

じぇ:この赤い点が全部美容院ですか、20個はありますね。お客さんが来るのか心配になります。なにか理由があるのですか。

真鍋:調べたことないから理由は全くわからない。しかし、以前は資生堂の工場が大船にあったことと関係があるかもしれないね。資生堂の工場がなくなってまだ10年経ってないし…。

じぇ:大船って街として栄えてるんですか、寂れてるんですか。

真鍋:私も大船はそこまで詳しいわけではない。確かに、以前にあった松竹の撮影所がなくなり、跡地に三越ができたがそれもなくなり、資生堂の工場もなくなり、東芝メモリーもキオクシアに名前が変わったし、大きい企業で残っているのは三菱電機くらいになったしね。

じぇ:工場地帯から住宅エリアに変わったんですね。

真鍋:そういえば私が高校生の時に夏期講習に通った、代々木ゼミナール大船校もいつの間にかなくなっている。場所を調べてみたら、Y-SAPIXがある隣の広い駐車場が跡地らしい。全く気が付かなかった。

じぇ:代々木ゼミナールは、東進ハイスクールとの抗争に敗れて、ほとんど見なくなりましたね。

代々木ゼミナールとは、有名講師を擁して栄えていた予備校である。その後東進ハイスクールとの講師引き抜きなどの抗争により衰退し、2014年には校舎の大半を整理した。その後、中学受験のサピックスを買収したことにより、息を吹き返しつつある。 「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:昔、気に入って通っていた場所がなくなるのはさみしいものだ。じゃあ、そろそろ街を散歩してくるよ。

そういいながら、じぇーんと別れて大船の街を散歩するクリムゾン真鍋。

真鍋:せっかくだから、駅前のゲーセンでものぞいていくか、ゲーセン自体が絶滅危惧種だから、見かけたら入っておかないともう二度と見えなくなる可能性もあるよな。

ふと前をみると、クルムシ軍曹が4人がけのコインゲームに興じている姿を見かける。

真鍋:おや、クルムシ軍曹じゃないか。

クル:クリムゾン真鍋が大船にいったと聞いて、なんか興味があって、大船に来てみました。LINEで連絡すれば簡単なのですが、それじゃ単純すぎて面白くない。ということで、ゲーセンが好きなクリムゾン真鍋なら、大船一番のゲーセンで待っていれば、そのうち魅入られたようにやってくるかなと。

真鍋:まさに魅入られたように来てしまったわけだ、行動を先に人に読まれるのはあまり気分の良いことではないがな…。

クル:僕は気分いいです。で、いまやってるアラビアンジュエル、放出モード中で、思いきりコインが出てます。見学していきますか。

真鍋:アラビアンジュエルは、セガプッシャーの中でも名作と言われている筐体だな。稼働から10年以上経っているが、いまだに現役で稼働しているんだな。

クル:最近は、実質続編の「ホリアテ~ル」がセガから発売されたので、状況は変化しつつありますが。

真鍋:アラビアンジュエルは名作だから、その続編が出るのは理にかなってる、大歓迎だ。

クル:これ見てください、下のボール排出口にボールが溢れんばかりに溜まってます、凄いでしょう。

真鍋:たしかに凄いな、もともと上と下のステージに、ボールが32個あれば十分に戦える機械なんだが、排出口に10個以上溜まっている、しかも端っこに少しだけ姿が見えているのは赤の大玉ではないか。ゲージは1100枚を指しているから、間もなく1100枚のコインをゲットするわけだな。絶好調、クルムシ軍曹。

クル:放出モードが絶好調なのは確かですね。少し前に栄光学園の高校生が4人くらいできて、おおまけして帰りましたから。未成年は時間制限があるから、その後に放出モードがくることがわかっていても、店を退出しないといけない。その隙を狙ってプレイするのが一つの攻略法ですね。

真鍋:高校生からコインを巻き上げる、セコい戦術だな。

クル:コインゲームは、パチンコと同じ。誰かが負けて、誰かが勝つ仕組みですから、負けそうな人が現れる場所と時間帯に出没して、負けのおこぼれに預かるのが戦術なので仕方ないです。

真鍋:まあ、クソゲーがあって、素晴らしいゲームが存在する。ゲーム制作と同じだな。おおっと、いまガイド音声で、ビッグ・レッドジュエルげっとぉと聴こえたが…・

クル:溜まっていた玉が進んで、大きい赤玉のボーナスステージが始まったようですね。

演出デモをじっと見つめるクリムゾン真鍋とクルムシ軍曹。そして結果は…。

真鍋:あれ、100枚しか出ないぞ、1000枚出るんじゃないのか。

クル:最後の抽選に負けたみたいですね。どうやら放出モードが終わりに近づいて、回収モードに入ったみたいですね。小さく勝ち続けて1500枚くらい出ましたから、モードが変わるのは仕方ないですよね。

真鍋:そうか、偶然ではなく必然で100枚になったのか。クルムシ軍曹はなかなか頭が良いな。

クル:そろそろアラビアンジュエルは終わりにして…。そういえば、大船観音さまの近くに、古い民家を改造したカフェがあるらしいですよ、行ってみますか。

真鍋:吾輩はカフェには興味がない。

カフェだけではなく、ダーツや、ビリヤード、古いゲームなんかも置いているみたいですよ。

それなら行く行く、ぜひ行かせてもらおう。

アラビアンジュエルで大勝ちして気分良くゲーセンをあとにするクルムシ軍曹とクリムゾン真鍋。お気楽に大船生活を楽しんでいる二人だが、運命の転換期は徐々に近づいている。地球滅亡ではなく、大船生活の終了まであと、47日!。