第33回:7年ぶり、ついにアレが復活。

大塚での1ヶ月間の生活が終わり、カレーショップがたくさんあるということを理解した以外になんの成果を出せなかったクリムゾン真鍋。そして1月末の時点であと6日後に起こる世界の破滅というか、運命の分岐は一体どうなったのか。2ヶ月間も更新を放置してどんな顔をしてのうのうとストーリーを再開するのか、厳しく状況を問い詰める必要があるのではないか。

ちょ:おはよう、お父さん…じゃなかった、クリムゾン真鍋。あまりに久しぶりだから呼び方を忘れてしまった。

真鍋:おお、これは鉄緑会に行くようになってから急に羽振りが良くなったチョモランマくんではないか、私が失踪中は元気にしていたか。まあ、2ヶ月ほど失踪することはこれまでも何回かあったから、特に気にすることはない。サターン版デスクリムゾンが大変なことになった1996年頃も2ヶ月失踪してクレタ島に行ってた気がするしな。

ちょ:そうなんだ、今回はどこの島に行ってたの、五島列島とかじゃないの。アワビの冷凍保存に興味があるっていってたから、ゲーム制作諦めて冷凍アワビの製造流通業に鞍替えしたのかと思った。

真鍋:まあ、水産物の冷凍にも興味はあるな。CAS冷凍法が開発されたのがもう30年近く前、その後、普及したのかどうか興味があるところだ。

CAS冷凍とは素材の鮮度を劣化させることなく魚介類などを冷凍する技術である。近年レストランや居酒屋で安くて美味しい魚が食べられるようになってきたのもCAS冷凍の恩恵による部分が大きい。「出典:近代芸無辞典より」

ちょ:どうやら、CAS冷凍は日常生活に溶け込んでいるようだね。さて、アワビの冷凍はおいといて、そろそろこの2ヶ月間について納得行く説明をすべきだとは思うけどね。

真鍋:いろいろと事情があるんだ、ゲーム制作における種々の事情がね。ゲームを作るのに大事な要素はなにか知っているか、チョモランマくん。

ちょ:アイディアとか、キャラ設定とか、パソコンとかじゃないの。

真鍋:それも必要だが、いちばん重要なのは開発拠点だ。戦国武将にとってどの立地に城を作るか、その城に誰を配置するかというのは最も重要なことなんだ。

ちょ:それはそうだけど、そもそも開発拠点は大塚に作るんじゃなかったの、クロニン田村の調査もあるけど、下町であるがゆえに社会資本が充実して、食事事情もよく都内での打ち合わせが簡単な大塚は結構良いところだと思うんだけど…。

真鍋:それは一理ある、大塚はそのあたりの要素が概ねそろっている。だから、前向きに考えていたんだが…。

ちょ:なにか事情があったの。大塚にしなかった理由は。

真鍋:本当は、元麻布に城を作りたかったんだが、これも諸般の事情で実現せずだ。大塚にしなかったのと同じ事情だね。

ちょ:そろそろ、この2ヶ月間の失踪の理由を説明してもいいんじゃない、アワビとか元麻布の城とかはどうでもいいんで。

真鍋:まあ、そう急ぐな。さっき、ゲームを作るのには開発拠点が大事といったが、ここで武田信玄の言葉を思い出してほしい。武田節を聞けばわかる。

武田節とは、戦国武将、武田信玄の生き様を描いた楽曲である。コンパや宴会、社員研修で歌われることが多い。クリムゾン真鍋が大学院で核動(正式名称:原子動力実験棟)に入所した際、歓迎宴会で披露した歌でもある。「出典:近代芸無辞典より」

ちょ:人は石垣、人は城、~てやつだよね。

真鍋:そうそう、開発拠点があっても、人がいなければどうにもならない。もともと東京タワーの近くの増上寺周辺に拠点を設ける予定だったんだが、諸般の事情でそれは成立せずだ。

ちょ:諸般の事情が多いね、本当は面倒だから先送りにしていただけじゃないの…。

真鍋:ちが~う、それは絶対に違う。この2ヶ月間、吾輩がどれだけ身を粉にして働いてきたか、君はしらないはずだ、チョモランマくん。

ちょ:なんか、話があちこちに飛んで、長くなりそうだ。俺は今日から柔道部の合宿にいかないといけないし、忙しいから手短に言い訳をしてください。

真鍋:では、手短にすることにしよう。F-LABO、これがキーワードだ。

ちょ:F-LABO…。FはわからないけどLABOは…。ラバトリーならトイレだから藤沢のトイレってことになるけど、それなら、F-LAVAだしね。

真鍋:そういうとぼけた発言は自粛してくれ、結論としては…。

ちょ:ごくり、一体何なんだろう、F-LABOって。

真鍋:では発表します、あっ、その前にCM入ります。答えは30秒後にね。

ちょ:30秒間、待ち遠しいな。しかしCMはこれで最後だよね。

真鍋:あと2本入る予定。次のCM入ります。

ちょ:いい加減にしろ。俺は忙しいんだからさっさと始めてくれ。

真鍋:わかった、そろそろ発表しよう。7年ぶりに我がエコールソフトウェアは、開発拠点を設置します。場所は藤沢市、湘南エリアのとある場所だ。ここから、世界に向けて発信することになる。F-LABOとは藤沢開発室のことだ。

ちょ:あれ、元麻布じゃなかったの、新開発室は。

真鍋:ちょっとした事情で、その話はなくなった。要するにこれからは、湘南だ。街中いたるところでサザンオールスターズの歌がかかっている湘南。これこそが新たな開発拠点にふさわしい。

ちょ:藤沢だからF-LABOなんだね、わかった。

真鍋:それより、この表札が目に入らぬか…。

ちょ:これは、伝説のエコールソフトウェアの表札。これまで何回も廃止の危機を乗り越え復活してきたという、伝説の看板だね。

真鍋:そのとおりだ、風雪に耐え、今回で4回目の復活だ。

ちょ:なんか、わかりにくいけど、まとめてみると…。1月末にあと6日で重大な分岐があると予告した、それは元麻布に開発拠点、A-LABOを開設予定だったが、不思議な力が働いてその話はなくなった。それでクリムゾン真鍋はこの2ヶ月遊んでいるように見せかけて、密かに新たな開発拠点の設置を準備してきた。その場所は湘南エリアである藤沢市。そして、2ヶ月かかってついにF-LABOは完成した。こんな感じかな。

真鍋:まあ、まとめるとそういうことだ、そこにはいろんな人間模様があったがな。人生いろいろ、会社もいろいろ、エコール流浪の旅はひとまず藤沢で区切りをつけることになる。

しかし、麻布から藤沢って遠いんだけど、行くのが面倒。

湘南新宿ラインでくればあっという間だ。結構揺れるけど、気にするな。

じぇ:F-LABOから見える景色が素敵ですね。

真鍋:あれ、じぇーんはいつの間にか帰ってきたのか、2ヶ月間の帰国だったな…。どうだ、フィリピンでの休暇は楽しかったか。

じぇ:ぼちぼちです。

増上寺周辺、大船、大塚、元麻布と候補はあったが、藤沢に開発拠点を新たに作ったクリムゾン真鍋。3ヶ月にわたって行ってきたカウントダウンの正体は、エコールソフトウェアの開発拠点が7年ぶりに復活でした。ニンジャクリムゾンプロジェクトは、F-LABOを得て更に進展するのか、藤沢が最終地点となって湘南の海に藻屑と消えるのか、これからの新展開をお楽しみに。